偶然観ていた『東京ラブストーリー』に出演することに
VOCE編集部
そして、いま絶賛お稽古中なのが、ミュージカル『東京ラブストーリー』ですね。
夢咲さん
実はこのお話をいただく前なんですが、偶然サブスクで『東京ラブストーリー』のドラマを全話観ていたんです! コロナ禍で家にいる時間が増えていたときに、「『東京ラブストーリー』ってどうしてあんなにみんなに愛されて、未だに名場面だとか言われているんだろう」と思い、とりあえず1話目を観てみたら面白すぎて一気に観てしまったくらいにハマってしまい(笑) 面白かったと思っていた作品なので、このお話をいただいてすごくびっくりしたんですけど、「あの作品を3時間におさめるのは大変!」と、まさに今カンパニー全員で試行錯誤しているところです。
VOCE編集部
夢咲さんは、関口さとみを演じられるとか。
夢咲さん
そうです! ドラマを観ていて、どう思いましたか?
VOCE編集部
『おでん女』という異名をもらってしまった関口さとみですよね……。ドラマを観ていた女性たちからはかなり非難殺到だった記憶があります。
夢咲さん
ですよね(笑) 私自身も唇を嚙みしめながら観ていましたから。なんで今来るの、しかも、なんでおでん持ってくるの!って(笑) 最初は非難を浴びる役だと思っていたのですが、いざ演じるとなったときは、そこをとことん楽しもうと思っているところです。でも今回はドラマではなくマンガ原作をベースにしているので、多少設定が異なっています。ミュージカル版という感じですね。
VOCE編集部
どんな気持ちを持って、さとみを演じていらっしゃいますか?
夢咲さん
私はそこまで“あざとさ”を前面に出そうとかはあまり考えずに、台本に沿って演じているんですが、その後の(赤名)リカの気持ちを思うと、(永尾)完治とリカの恋愛に対してさとみの存在がすごくスパイスになっているのは確かなんですよね。さとみが何かやってしまったあとの完治とリカの場面を観ると、思わず「なんか、ごめん……」と思ってしまうというか(笑) でも、さとみはさとみなりに自分の愛を模索して、成長しようとしているのかなと思います。
VOCE編集部
なるほど。夢咲さんのお話を伺うと、また違う気持ちでさとみを観られますね。
夢咲さん
ありがとうございます。作品の中で「完治にとってリカは東京だった」と語る場面があります。愛媛という田舎から出てきた完治は、都会的で自立した、自由な自分自身をちゃんと愛せる女性=リカを東京の象徴として捉えているんでしょうね。さとみはさとみで愛媛から出てきて、三上健一という同じ出身はあるけれど、どこか自分とはかけ離れたおしゃれな存在で、ひとつ先を行っている大人の男性に“東京”を重ねているんです。でも最終的には、いつもそばにいて優しく見守ってくれていたのが完治だったと気づく、さとみの成長物語でもあると思っています。
VOCE編集部
ドラマとはまた違った気持ちで舞台を観ることができそうです。
夢咲さん
3時間しかないのが惜しいくらい! どのキャラクターにも悩みや影があり、共感できるところがたくさんあるので、それを観ていただけたら嬉しいです。
VOCE編集部
今回の舞台は、2グループのキャストに分かれて上演されるんですね。夢咲さんは空キャストでのご出演で、永尾完治が柿澤勇人さん、赤名リカが笹本玲奈さん、そして三上健一が廣瀬友祐さんというキャスティングですが、皆さんとは初共演ですか?
夢咲さん
柿澤さんとは『サンセット大通り』でご一緒しました。玲奈ちゃんとは初めてなんですけど、廣瀬くんとは『1789 -バスティーユの恋人たち-』と『グレート・ギャツビー』で一緒でしたね。『グレート・ギャツビー』でも夫婦役だったんですけど、浮気されて傷つけられるという関係性だったんです(笑) 今回は空キャストと海キャストでお稽古も上演日程も完全に分かれているので、普段はこの4人でいることが多くて。作品も初演なのでみんなでイチからつくっているという感覚です。同志みたいになっていて(笑) この3人に会うと安らぐというか、ホッとできるんです。キャラクターもそれぞれ、もう本当にピッタリですし。
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女優・夢咲ねねの今後は?