元星組トップ娘役として、娘役の一時代を築いた夢咲ねねさんが、満を持して元タカラジェンヌ特集に登場! 宝塚が誇るトップ・オブ・トップスターと言われた元星組トップスター・柚希礼音さんの相手役として6年間トップ娘役を務めるなど、圧倒的な存在感で当時の宝塚歌劇団人気を牽引した一人です。
そんな夢咲さんも、劇団を卒業して早7年。退団直後から大きなミュージカル作品への出演が続き、順風満帆な女優人生を送っている夢咲さんに在団中や卒業してからの紆余曲折、そして、現在まさにお稽古中というミュージカル『東京ラブストーリー』についてもお話を伺いました。記事の最後には夢咲ねねさんの美しすぎる未公開カットもたっぷり! 最後までご覧ください。
トップ娘役だった6年間はあっという間!
VOCE編集部
退団されて7年ですが、退団後はいかがでしたか?
夢咲ねねさん(以下、夢咲さん)
山あり谷ありですね。いろいろありましたが、今は少しずつ自分が見えてきたかなと思っています。在団中は目の前のことに追われる日々だったので、自分に厳しくなってしまい、欠点しか見えないという時期があったんです。自分のことが嫌いになってしまって……。なので、辞めてからしばらくは心を整えるのに時間がかかりましたが、ようやく見つめ直せている気がします。
VOCE編集部
宝塚ではトップ・オブ・トップのコンビを務められていましたから。お忙しかったと思います。
夢咲さん
やはり柚希さんは本当にすごい方でした。その方の相手役を務めていたので、ちえさん(編集部注:元星組トップスター・柚希礼音さんの愛称)のお相手をするのに足りないところとずっと向き合う日々だったんです。自分の中では6年間があっという間だったというか、本当に一瞬にして過ぎ去ってしまいましたね。私が相手役として組ませていただくことが決まったときは、柚希さんがどれくらいトップを務められるのかは知らなかったのですが、「必ず柚希さんと一緒に卒業したい」と思っていたので、6年間、ひたすらついていかせていただいた、という感じでした!
VOCE編集部
素敵な作品が多かったのを覚えています! 個人的には『ロミオとジュリエット』がとても印象的でした。
夢咲さん
宝塚ではちょっと先進的な作品だったかなと思います。実は私、研2のときにウィーンで観ているんですよ。当時『エリザベート』を月組で上演することが決まっていて、その時私は月組にいて新人公演でエリザベート役をいただいたので、ぜひ本場で観たいなと思い明日海りおと一緒にウィーンへ旅行に行き、『エリザベート』を観劇したんです。そしたら、そのときにちょうど『ロミオとジュリエット』も上演されていて。
VOCE編集部
ご覧になったんですか?
夢咲さん
最初は全然興味がなかったんです(笑) 『ロミオとジュリエット』はクラシカルだと思っていたので。でもこれも縁かもしれないからと観ることにして、ウィーン初日に『エリザ』、翌日に『ロミジュリ』、その次の日に『エリザ』を観て帰国というスケジュールだったんですけど、開演と同時に『ロミジュリ』の作品に圧倒されてしまい……。とにかくカッコいい、この作品はすごすぎる!と思っていたら、ときめきすぎて熱を出してしまったんです(笑) 本当は出待ちもしたいくらいだったんですけど、なんとかCDだけ購入してホテルに戻り、翌日の『エリザ』は体調不良で観られずじまい。
VOCE編集部
大変な観劇旅行になりましたね。
夢咲さん
帰国してからもずっと『ロミジュリ』のCDを聞き続けていて、いつか日本でも上演してほしいと思っていたところ、年月を経てからですが、星組で上演することになり。「こんな奇跡があるんだ!」と夢が叶った瞬間でした。
VOCE編集部
素敵な思い出ですね。退団されてからの外の世界はどうですか?
夢咲さん
私が人見知りということもあり、卒業した当初は毎回新しい現場で芝居をするときに“自分をさらけ出していくこと”がとても難しくて、そこを突破するのが自分の中では大変だなと思っていたんです。でも7年も経つと以前共演したことのある方も増えてきて、お芝居のことで相談もできるようになったりもしています。“新しい現場”が刺激的だなと思えるようになりました。
VOCE編集部
夢咲さんの「舞台に立つのが楽しい!」という気持ちが伝わってきます。
夢咲さん
退団前後は、舞台に立つのを怖いと思ったときもあり、このまま“舞台に立つ”ことを続けてよいものか悩んだときもあったんです。でもそのときにお声をかけていただいたのが『サンセット大通り』というミュージカルだったのですが、そのオファーをいただいたのが在団中で。劇団の方からも「一度やってみてから決めたらいいんじゃない?」と言われて、確かにそうだなって思ったんですよね。しかも、初日が誕生日だったんですよ(笑)。
VOCE編集部
これまた、すごい、しかも嬉しい偶然ですね!
夢咲さん
はい! これもご縁かなとも思ったので、まずは1作だけでもチャレンジしてみようと思って舞台に立ったら、この作品がめちゃくちゃ楽しくて! 在団中は組を背負っているんだという気持ちや、柚希さんに恥じないようにという思いなど、自分で自分自身をがんじがらめにしていた部分がすごく大きかったと思います。宝塚を辞めて自分という一人の女優として舞台に立つという新しい責任感も生まれるのですが、自分の責任は自分でという具合に管理できるようになってきたかなと思っています。
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『東京ラブストーリー』出演への意気込み!