「食事」に関する家事は調理だけではない。買い物に行き、献立を考え、お皿や調理器を洗い、拭いて、それを元の食器棚に戻す。そして、ゴミをまとめて出す……自炊をすることで、それら一連の作業が発生する。
自炊を始め、僕の健康を考え、毎日食事を作ってくれた母親のことを。そして、「今日は食べたくない」と不機嫌にこたえていた頃の自分を思い出す。
女性ばかりに負担がいきがちな「家事」が気になるようになった。僕が男というだけで料理をするとほめられることとつながっていることにも気がついた。
自炊を通し、自分のための「食べる」を考えるようになっただけで、いろいろなことに考えが及ぶようになってきた。セルフケアを意識し、自分に集 中した途端、社会の見え方が変わってきたことに正直驚いている。
“愛のシャンパンタワーの法則”という話を聞いた。
結婚式などでグラスを重ねて作られるシャンパンタワー。1段目は自分自身、2段目が家族や身近な人、3段目は友だちや仲間、4段目はお客様や同僚、5段目は地域や社会。そのどこからシャンパンという名の愛を注ぐかという心理学的な話だ。
以前の僕は、お客様を笑わせることだけを考えていたので、4段目ばかりにシャンパンを注いでいた状態だ。それはつまり、1段目〜3段目はもちろん、4段目のグラスすべてにも行き渡らせることができないということだ。
これまで自分のことはいつも後回しにしがちな人間だった。「りんたろー。は優しいから」。そう人から言っていただくことは多いけれど、その僕がいちばん優しくできないのは自分だった。シャンパンタワーの法則で言えば、常に一番上のグラスが空っぽな状態だ。どんなにジャバジャバとシャンパンを注いでも、タワー全体のグラスが満たされることは決してない。
美容でセルフケアをするようになったら、自分自身が満たされていくのを感じ、そこで溢れた愛情が身近な人に行き渡って、その愛情が結果的に仕事仲間やファンにも届く。最近、それが実感できるようになってきた。
自分をきちんと扱い、ケアすることで、いきなり社会の見え方が変わることはあるし、自分の行動を少し変えることで、まわりへの波及効果は変わっていくこともある。そのテッペンにいるのはいつだって自分だ。
自分に手をかけてあげることに後ろめたい気持ちになる方(特に育児中や介護中の方はその傾向が強いのではないだろうか?)は、ぜひ、この愛のシャンパンタワーをことあるごとに想像してみてほしい。
シャンパンタワーを愛する、チャラ男からのお願いだよ!
『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』
形式:ソフトカバー 四六判 224ページ(2色192ページ/カラー 32ページ)
価格:¥1650(税込)
発行:講談社 ISBN:978-4-06-530216-3
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りんたろー。
1986年生まれ。2008年4月、東京NSCに14期生として入学。2017年末に兼近大樹を誘い、お笑いコンビ「EXIT」を結成。ネオ渋谷系チャラ男漫才と称するしゃべくり漫才のツッコミを担当。ネタ作りも担う。
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撮影/魵沢和之(まきうらオフィス)
Edited by 大森 葉子
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