おじさんで、イケメンでもない僕みたいな人間が、ネイルを楽しんでいたら、メイクやネイルを「やってみたい」とは思いつつ、二の足を踏んでいる方の後押しができるかな。そう考えていることもあってネイルアートを続けている(なんと2020年には、東京ネイルエキスポで「ネイルクイーンメンズ部門賞」を受賞した!)。
そんなことを考えずとも、ネイルはちょっとした時に自分の視界に入るから、その度に気持ちが「アゲ!」になるのも魅力だ。
もしあなたが男性なら、一度ネイルサロンに行って、カラーは塗らずともネイルケアをしてもらい、爪をツヤツヤに磨いてもらってみてほしい。もし、それに抵抗があるのなら、少しツヤが出たり、いい香りがしたりするようなハンドクリームを手にていねいに塗ってみるだけでもいい。自分に手をかけてあげたという充実感や、「ウキッ♪」と浮き立つ気持ちを味わうと、自分を喜ばせてあげるという感覚がつかめるかな、と思う。
「昔は、ネイルをしている男性はNHKに出させてもらえなかったんだよ」と作家の志茂田景樹さんから教えていただいた。始めた数年前より、「ネイルしてるんですね」と驚かれることが急激に減っているので、価値観は本当に変わっていくということも体感している。
SNSで昔の価値観のままの投稿をしてしまい、セクハラだと炎上したこともある。もともとは世間で“男っぽい”と言われる考え方をしがちだとも思うし、体育会系出身で、今も“男くさい”芸人界に身を置いているということもあるのだと思う。「面白い」と思っていただけると思って投稿していただけに、猛省するしかなかった。
「何を笑うか」を決めるのは世間。その社会の空気を読んで、美容の発信だけでなく、EXITの漫才を通し、「こういうことで笑うのって、古くない?」「こっちの笑いのほうがイケてるっしょ?」と、これからの笑いの道標を指し示していけるような存在になれればいいなと思っている。
一方で、昭和に生まれ、あの時代の笑いが大好きで芸人を志してきたので、自分に染み付いている価値観をはがすのは簡単ではなく、時間がかかる。日々、勉強と反省を繰り返し、いろいろな方の意見に耳を傾け、古い正解にとらわれないよう、アンテナをはり続けたいと思う。
日本のお笑い界の裾野を広げたいと思って活動をしている。芸人以外の活動を多くしている本当の理由はそこにある。
ジェンダーの壁を取っ払う。年齢の壁を取っ払う。思い込みの壁を取っ払う……指先のキレイに塗られたネイルを見る度に、「リミットクラッシャー」というEXITのコンセプトを思い出し、気合を入れ直している。
『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』
形式:ソフトカバー 四六判 224ページ(2色192ページ/カラー 32ページ)
価格:¥1650(税込)
発行:講談社 ISBN:978-4-06-530216-3
目次
りんたろー。
1986年生まれ。2008年4月、東京NSCに14期生として入学。2017年末に兼近大樹を誘い、お笑いコンビ「EXIT」を結成。ネオ渋谷系チャラ男漫才と称するしゃべくり漫才のツッコミを担当。ネタ作りも担う。
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撮影/魵沢和之(まきうらオフィス)
Edited by 大森 葉子
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