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『僕はメイクしてみることにした・シーズン2』11月1日配信スタート!【作者:糸井のぞ先生インタビュー】

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祝昇進! シーズン1以上に一朗は苦労する!?

「シーズン1を描いているとき、セルフケアは大事だけれど、それが押し付けにならないか、疲れているときなどに責められている感覚にならないかということが心配で、押し付けにならない表現をずっと模索していたんですね。それで、上の立場になると、同じことを言っても押し付けのようにとらえられることがあるのではないかという思いから、セルフケアと立場の難しさを紐づけるため、シーズン2では一朗を昇進させました(笑)。
 自分が今どの位置にいるかを確認することが、一朗にはたしてできるのか。一朗が変わるわけではなく、状況が変わると見え方が変わるということを、セルフケアを通して描きたいと思っています。私は一朗に苦労してほしいんですよ。ちょっと意地悪ですが(笑)、それは一朗というキャラへの信頼があってこそでもあります。
 誰にでも、頑張っていても、自分の意図が伝わらず、責められるようなことはあると思いますが、そんなときに一朗だったらどうするのか。彼が迫りくる困難をいかに乗り越えるのかは私も楽しみなんです」

©️糸井のぞ/講談社

シーズン2では、一朗の職場を描くことにより、性別も年齢も立場も異なる者同士のギャップも展開されていく。

「メイクはお金と時間があるからできるものであって、メイクをしたくても、お金がない、時間がないといった、環境や立場的に難しい人などもいろいろ登場します。しかも、職場の同僚などは、多くの場合、自分が選べる相手ではなく、仕事を介して長時間を共有する中で起こること、見えてくる世界があるのかなと思います。様々なキャラクターが登場することで、どの方も誰かには必ず共感できるように紡いでいきたいですね」

もう一人の主人公、大学生の潤が登場!

では、シーズン2で、メイクはどんなふうに登場し、進化していくのか。

「シーズン1では、一朗に口紅などのカラーメイクを少しさせるところまでいきましたが、セルフケアがメインの一朗には、これからより年齢を重ねていくことによる白髪などの問題や、爪など、顔以外のより広い範囲でのケアを取り組んでいきます。私自身もそうですが、若い頃見えていなかった老いの破片みたいなモノを見つけることができ始めて。それを止めたいわけでも、目を閉じるわけでもなく、目を開きながら付き合っていく変化、親友も含めてみんなとどう共有していくかを描きたいと思っています」

さらに、2の大きな特徴は、もう一人の主人公・潤が登場することだ。

「メンズメイクのもう一つの方向性として、アイドルのようなカッコいいメイクを楽しむ姿も描きたいということから、新しいキャラクターとして、メイクによって一歩踏み出すキャラクターを描いていきます。20代だからこそ楽しめることもあれば、アラフォーだからこそ楽しめることもある。美容のアイテムも、非常に高価なものもあれば、100均で売っているものもあって、そういう幅の広さもより出していきたいです」

©️糸井のぞ/講談社

潤は「内向的でアイドルオタクの大学生」。言いたいことはたくさんあるのに、言語化できない様、親とのやりとりなどは、どこかの家庭をのぞいたようなリアルさだ。糸井さんは潤が作られた背景と、見どころについてこう語ってくれた。

「新キャラクターを設定するにあたり、新社会人や大学生など、可処分所得の高い方からそうでない方まで、幅を持たせ、20代男性たちにたくさんインタビューをしました。リアルな若い男の子たちの声やメイク事情、価値観が反映されていますので、そのあたりも楽しんでいただけたらと思います。
また、シーズン1で原案の鎌塚亮さんが伝えてくださったセルフケアの精神をシーズン2でも引き続き大切にしていきながら、シーズン2は完全なオリジナルとしてセルフケアのその先を描いていきたいです。楽しみにしててください!」

次回、VOCE担当編集者が語る、『僕メイク』で見えてきたメンズ美容のハードル

取材・文/田幸和歌子

Edited by 大森 葉子

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