お話をうかがった方
精神科医、作家
樺沢紫苑先生
SNSを通して精神医学や心理学、脳科学の知識をわかりやすく情報発信し、YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」が大好評。
Q.自己肯定感が低いのはなぜですか?
りんたろー。さん(以下、敬称略)「最近、自己肯定感という言葉をよく耳にします。僕の場合、芸人になってから周りに面白い人たちが多すぎて、その人たちと自分を比べてたびたび落ち込んだことがありました。あの頃は、自己肯定感が本当に低かったなと思うんですけど、今は少しずつ自己肯定感が高くなってきている気がします。
多くの人が以前の僕のように自己肯定感が低いと悩んでいますよね。それはなんでなんでしょうか?」
A.自己肯定感は「これが私」と自分を肯定する力
樺沢紫苑先生(以下、樺沢先生)「日本人に自己肯定感が低いですか、高いですか? と聞くと、ほとんどの方が低いですと答えます。私は実際に自己肯定感についてアンケートをとったんですが、自己肯定感が高いと答えた人はたったの8%。ざっくり計算すると自己肯定感の高い人は1割で、9割の人は自己肯定感が低いと思っています。
謙遜する文化が根付いている日本人の場合、基本的に自己肯定感が低い人が多いので、自己肯定感が低いからといって落ち込むことも、自分を卑下する必要もありません。それはふつうのことなんです」
りんたろー。「自己肯定感の低い人が9割も! 自己肯定感が低くても、それが当たり前だと思うとラクになれますね」
樺沢先生「でも、そもそも自己肯定感を間違って理解している人が多いんです。自己肯定感の高い人は前向きで、ものごとをプラスにとらえて一生懸命活動している人というイメージはありませんか?」
りんたろー。「そうですね。自信満々で誰とでもうまくやっている人を見ると自己肯定感が高そう! って思います」
樺沢先生「実はそうではなくて、たとえ内気で人と話すのが苦手でも“これが私だ”とありのままの自分を肯定できる人が自己肯定感の高い人です」
りんたろー。「前回うかがったポジティブ思考の定義と似ていますね!」
樺沢先生「そうです。自己肯定感が高い、低い、はポジティブとネガティブの関係に似ています。外から見て明るかったり、自信があるように見えても、そんな自分を無理して演じて肯定していなければ自己肯定感が低い状態です」
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マイナス発言は自傷行為と同じ