お話をうかがった方
精神科医、作家
樺沢紫苑先生
SNSを通して精神医学や心理学、脳科学の知識をわかりやすく情報発信し、YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」が大好評。
Q.ポジティブじゃないとダメですか?
りんたろー。さん(以下、敬称略)「これまでずっとポジティブでいなきゃいけないと思って生きてきました。本当は気分がのっていないのに、周りから明るく振る舞うことを求められているから無理してポジティブぶって頑張っているときもあって。それが本当の自分なのかどうか、よくわからなくなるときもあって。いつでもポジティブでいることって難しいなって思うんです。樺沢先生、やっぱりポジティブでいるべきなんでしょうか?」
A.「それでいい」という思考が真のポジティブ
樺沢紫苑先生(以下、樺沢先生)「日本人の多くの方はポジティブの意味を間違って理解しています。実は英語のポジティブには2つの意味があって、ひとつはみなさんが考えるような『前向き、積極的』という意味。もうひとつは『肯定的、それでいい』という意味があります。20年ほど前からアメリカの心理学の主流になっているのが、この『それでいい』という思考を主軸にしたポジティブ心理学です」
「能天気」と「ポジティブ」は似ているようで違う
樺沢先生「よくポジティブを説明するときにお話をする例え話をしましょう。
ある南の国に靴のセールスマンが2人派遣されました。その国の人は誰も靴を履いていません。それを見たセールスマンのAさんは『この島は誰も靴を履いていないので靴は売れません』と言います。一方、Bさんは『この島では誰も靴を履いていないので、たくさん靴が売れるはずです』と報告します。
さぁ、りんたろー。さん、どちらがポジティブで、どちらがネガティブだと思いますか?」
りんたろー。「当然Bがポジティブで、Aがネガティブ!」
樺沢先生「ほとんどの方がそう答えると思います。実はそれが思い込み。例えば、Bさんが誰も靴を履いていないからといって、一気に100足の靴を仕入れても一足も売れない可能がありますよね? Bさんのポジティブは、根拠なき楽天主義。言い換えればただの能天気な人なのです」
りんたろー。「能天気(笑) たしかに!」
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ニュートラルに。ありのままに