連載 ベッキーの「新こきゅう」

「ベッキーさんは、“今”を生きてない」【ベッキー書き下ろしエッセイ連載第5回】

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「ベッキーさんは、“今”を生きてない」【ベッキー書き下ろしエッセイ連載第5回】

家族に仕事に向き合う毎日の中で、ベッキーさんが気づいたことや考えたこと、出会ったひとやもの、とにかく心を動かされたままに本音で綴ります。連載タイトルの【ベッキーの「新こきゅう」】は、マスク生活を余儀なくされ、呼吸について考えさせられる日々の中で、ベッキーさんが想いを込めて命名。記事冒頭の写真も、ベッキーさんが撮影! 「子供たちが集まる時はとにかくたくさんの納豆巻きやキンパを作ります。そうすれば、大人たちはゆっくりご飯が食べられること、私は知っているのです。笑」

ぐるぐるぐるぐる。私はとにかく色々なことをぐるぐると考えてしまう。特に悲しいこと、悔しいこと、むかつくことを。そんな私は最近、大きな人生のテーマを掲げている。それは“今を生きる”ということだ。

8月の暑さにやられて体調がすぐれず、さらに落ち込むこともあり、元気がない日々があった。そんな中、人のご縁がつながってゆく不思議な流れがあったので、私は新しい出会いの場へ積極的に足を運んだ。ピラティスの先生や、治療院の先生や、スポーツ内科の先生……それぞれの角度から私の心と体を分析してもらった。

ある方とお話ししているとき、こんな事を言われた。

「ベッキーさんは、“今”を生きてない」と。

なんだかわからないけど、怖く思った。すると、その方は続けた。

「みなさん、過去→今→未来が繋がっていると思っているんですけど、でも実は“今”だけ別次元なんです。人は“過去”や“未来”を考えるからぐるぐると沼にハマって抜け出せなくなるんです。人生は“今”の連続です。“今”をしっかり生きてください」

なるほど。これはぐるぐる病が持病の私にはいいお薬だ。ありがたい。その日から私のテーマは『今を生きる』になった。

例えば、料理中。私は野菜を切りながら、よくぐるぐると考える。ふと前日の嫌なことを思い出し、ムカ。さらにそこから派生して、何週間か前の出来事もリンクさせて、ムカムカ。ぐるぐる、ムカムカ、ぐるぐる、ムカムカ……。いつもの沼の始まりである。でもそんなときはお薬だ! はい! 『今を生きる』! ぽちっと気持ちを切り替えてみる。

ザクザクっ! おっ、きゅうりがいい感じの薄さで切れた。あ、人参少し余ったから細かく刻んでサラダにかけようか。ん? なんかまな板の汚れ気になるからあとで熱湯で除菌しよう!

……なんとも平和で健康的な時間だ。こんなシンプルなことでいいのに、それが出来なかったなんて……。もっと早くこの方法に気づきたかった。

とはいえ、ぐるぐるから抜け出すのが難しいときもある。私もいつも「考えたくなくても、考えちゃうの!!」と思っていた。でも、きっとそれは、考え“ちゃう”のではなく、自分から考えに“いってる”ところがあると思う。だからこそ日々のトレーニング。事あるごとに「私、ちゃんと“今”を生きてる?」と確認。もし過去や未来を考えて元気がないのなら、すぐに切り替えて、今目の前で起こっていること、今目の前にある素敵な景色にピントを合わせる。それを繰り返して、心をトレーニングしていくことが大事だと思う。

何歳になっても学びの日々は続いていくのだ。心地よい“今”を繋げていったら、素敵な未来と出合えそうだから、私は“今”を丁寧に生きようと思う。

ベッキーの「新こきゅう」連載の記事はこちら

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ベッキーさん
ベッキー/Becky

1984年生まれ。神奈川県出身。14歳で子ども向け番組『おはスタ』でデビュー。以降、バラエティやトーク番組、雑誌などで活躍。2019年にプロ野球指導者の片岡保幸さんと結婚し、2020年春に第一子、2021年春に第二子を出産。2021年には「第14回ペアレンティングアワード」でママ部門を受賞。洋服のデザインや絵画制作も行い、カラフルなアクリル画が印象的な「Becky art」も人気。YouTubeチャンネル「ベツキイ!!!!」も、絶好調配信中。

撮影、イラスト、文/ベッキー 撮影(ポートレイト)/猪原悠

Edited by 渕 祐貴

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