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下痢や腹痛が起こる原因を、医師が解説!
今回教えてくれたのは…
めじろ内科クリニック院長
久野伸夫先生
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本糖尿病学会専門医。山梨県厚生連健康管理センター内科勤務、日本赤十字社医療センター内科勤務を経て、2006年にめじろ内科クリニックを開院。自身のクリニックの院長を務めるほか、産業医としてオフィスワーカーの健康もサポートする。
「お腹が弱い」考えられる原因は……
・ストレス
・自律神経の乱れ
・アレルギーなど、食べた物による刺激
・ホルモンの影響
「お腹弱い」を自覚する方の症状は、主に「腹痛」と「下痢」が挙げられます。中には下痢症状はなく、「腹痛と吐き気」をセットで訴える方も。いずれも一過性のものであれば心配いりませんが、何度も繰り返すようならその背景に潜む原因=背景因子を探ることが大切になります。
背景因子として最も多いのは、ずばり「ストレス」。人間関係の摩擦、異動による環境変化、多忙な仕事環境、乳幼児の子育てなど……。繰り返すお腹の不調を訴える患者さんには、心身が休まらず緊張状態が続いている方が多く見られます。緊張状態が続くと交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経が乱れて、胃腸の不具合も出やすくなってしまうのです。
交感神経は活動的な時、副交感神経はリラックスモードの時に働く、ということはみなさんもご存知でしょう。ですが腸に対してはその逆で、交感神経は“ゆっくり”と、副交感神経は“はやく”動かす役割を担っています。そのため、自律神経が乱れると腸の働きにも乱れが生じ、過剰に働いて下痢になったり、胃が痙攣して腹痛を引き起こすことにつながります。
また、医学的には直接的な要因があるとは言い切れないものの、食べ物による刺激が原因と思われる腹痛や下痢を繰り返す人もゼロではありません。乳製品や香辛料、カフェインなどの腸を刺激するものや、胃に負担をかける脂質、肉類などが原因と考えられる食品です。
小麦のグルテンなどの食品アレルギーが疑われるもの、加齢による胃腸機能低下によるもの、妊娠前後などの女性ホルモンの変化によるものなど、食品との関係性は判断が難しいケースが多く一概には言えませんが、「関係している場合はあるだろう」ということは言えるかと思います。
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「お腹弱い」は病院でどう治療する?