連載 齋藤薫の美容自身stage2

【齋藤薫の美容自身2】コロナ時代に「元彼の夢」を見る人たちへ。あなたが今すぐすべきこと!

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人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。今月のテーマは“コロナ時代に「元彼の夢」を見る人たちへ。あなたが今すぐすべきこと!”。毎月第2水曜日更新。

一人が大好きな人も、誰かと暮らしたくなってくる?

最近、“元彼の夢”を見る人が増えているという。言うまでもなく、自粛に始まる大きな生活変化がもたらした夢である。もちろん夢もいろいろ、実際その後に再会して、予知夢となってしまうパターンもあれば、“夢占い”によく出てくるように、今現在の彼に対する不満がそのような形で現れるパターンもある。ただわざわざこの時期に元彼が夢に出てくるのは、やはり“誰にとっても未知の体験”がもたらした、特殊な心理状態によるものと言えるのだろう。

何となくの寂しさ、人恋しさ。漠然とした不安。そういうものが、ない交ぜになって、かつてはもっとも身近な存在であった人物を登場させる。現実であって現実でない元彼の存在は、深層心理における人間関係の一つの象徴なのである。

しかも、夢の形で現れるのは、自分もその感情に気づいていない証拠。つまり、明快な孤独とは違う。泣きそうな人恋しさとは違う。不安もとても曖昧で、怖くなるような不安ではないのだ。それもコロナ禍はすべての人に、世界中の人に、同じ苦悩を与えた。みんなそれぞれ家にいなければいけない環境を。自分だけが一人なのではないから、孤独感は不思議にあまりないのだ。逆に、煩わしい人間関係から解放される安心感というものもあって、人恋しさも表に出てこない。自然に“一人の単位”に戻って、自分を取り巻く人間関係を見直してみることになったからこそ、心の奥底にあったさまざまな感情が醸成されていたということ。

実際、人と住むのは煩わしいから“あえて一人暮らしをする人”が、何だか急に誰かと一緒に生きてみたくなる傾向もあるのだとか。“頑なに一人で生きる”のをやめたくなる人が増えたというのだ。でもそれは、人間として当たり前の感情。人の心が複雑になりすぎたから今シンプルな心に戻って、誰かと生きていきたいと思えるのは喜ばしい話。

もちろん、自粛生活で破綻する夫婦や、会えなくなって消滅しかけている関係もあるはず。まさに生きることの原点に戻るような生活は、人間関係を良くも悪くも整理し、浄化していく。終わらざるを得ない関係は終わり、続けていくべき関係は続いていく。そもそも会うべきでなかった人間同士が一緒に暮らしているケースも世の中にはごまんとあるわけで、そういう関係が知らず知らず正されていこうとしているのは確かなのだ。

友人関係も同じ、会わなくても済んでしまう人と、無性に会いたくなる人が、何となくでも見えてくる。たとえは悪いが、5年着なかった服は、きっともう着ない……という断捨離の発想? もちろん、人間関係はそんな単純ではないが、社会が複雑すぎて自分の心が見えずにいたからこそ、この不思議な時間が、人との関わりにおける正常な判断力を蘇らせたのだ。

だから今「誰とどう過ごしたら自分がもっとも幸せか」、それをきちんと見極めて、幸せ再構築をしたいのだ。既婚者も未婚者も、今こそ人との関わり方を一からやり直すべきなのではないか。そこで必要になるのが、当たり前だが努力。人と真っ直ぐ関わっていく努力なのだ。

人と人は、こうすれば上手くいく、というヒントをくれた、意外な二人

ちょっと特異なケースだが、一大スキャンダルとなった元政治家夫婦のその後が非常に興味深い。夫が“妻の妊娠中”に浮気、彼は速攻で謝罪会見し、あっという間に議員を辞職するという出来事があったのを覚えているだろうか。宮崎謙介・金子恵美夫妻。その後の選挙で妻のほうも落選してしまうのだが、それも浮気夫と離婚しなかったから……。支援者はもちろん、世論も「なぜそんなゲス男と離婚しないの?」という空気になって、もし離婚していたら同情票が集まり、きっと当選したはずなのに。つい最近、佐々木希の「私は離婚しない」は絶賛を浴びたが、こちらの場合は政治家夫婦だったからか、世間の反応は真逆だった。かくして、夫婦ともに失職するのだ。

でも彼らは今、コメンテーターとして活躍してる。なんと図太い! と揶揄することもできるが、見るべきはそこではない。日本中に嘲笑される夫を、それこそ最悪な裏切られ方をした妻はなぜ許したのか? 愛情の有無だけでは片づけられない話。世間体を考えて別れない夫婦と逆、世論に逆らってでも、二人は関係を修復した。いや、家の中ではどうかわからないというかもしれないが、何かこの二人からは、そういう闇が伝わってこないのだ。“浮気男は一生、浮気男”と言われるが、この夫婦には再生後の不思議な清々しさがあって、男と女はこうやってやり直すものなのだと教えてくれるよう。

ある場面で夫は“ミソギ”の方法を聞かれ「毎日、謙虚な姿勢で、ずっと家事をやってます」と答えた。毎朝、眠い目をこすりつつ、私のミソギが始まるんだなと朝ごはんを作る。作らないと一日が始まらない、と。彼が謝罪会見したとき、「妻に恥をかいていらっしゃいと言われて来た」と語ったとき、この妻は自分がこの男を更生させようと覚悟を決めたのだと知った。妻は妻で「『世界中が敵にまわっても、私は味方だよ』と言っていたんです」と冗談めかして語り、お互いそれぞれの方法で、想像を超えるほどの努力を積み重ねてきたことを忍ばせた。

いや勝手な推測だけれど、おそらく彼らは男と女というより、人と人として山ほど話し合い、妻は感情を振りかざすのではなく、頭で考えて考えて夫を作り直し、人生をやり直そうと挑んだのではないか。結局、彼らを救ったのは妻の逞しさと知性であり、基本優秀な二人の知的レベルの高い会話と、そして何よりお互いの努力。 関係修復から再生を始め、“二人の単位”で生き直そうと決めた。おそらく一人一人では難しかった再生を。

男と女なんて、閉ざされた空間の中で一日中、そして何ヵ月も顔を突き合わせていたら、すぐに相手への関心を失い、お互いのアラを探すことになる。それを回避させるものは、やっぱり努力と知的レベルの高い会話以外にないということなのだろう。“空気のような関係”だって、何ヵ月も密閉状態だったら、空気も淀んでくる。使わない道具はそれだけで錆び、傷んでくる。人間同士も一緒。自粛生活のように特殊な環境に置かれたら、既婚者も独身者も、努力と会話で関係を活性化し、お互い新たな魅力を見せ合い、見つけ合う、そしてちゃんと心を交わらせる、それを本気でやらなければ幸せになどなれないのだ。

今どき、出会いがないなんて、言わせない。その気になればいくらでもマッチングできる時代。出会いにだって努力が必要だからこそ、やっぱり一人より二人、それを一人一人が胸に刻んで、人と関わりたいのだ。既に誰かと住んでいる人も、もう一度、関わり直したい。コロナ暮らしがもっと長く続くなら、尚さら一人より二人。少なくとも今、まったく先が見えない時代、元彼の夢を見て、潜在意識の中に少しでも人恋しさを感じるなら、今こそ誰かとやり直す。そして努力と会話で新しい生活を始めてほしい。

いずれにせよコロナ禍が続くことで、想像以上に人々の心は大きく動いている。スピリチュアルの人々は今年の9月以降、物事の価値はさらに劇的に変わると強く提唱しているが、その中には「幸せかどうかを決めるのは100%自分の心、そこに物質的な条件はもう入ってこない時代となる」との主張も含まれていたりする。となれば尚のこと「人を幸せにできるのは人だけ」。人と人との関わりしかないと言い切れる。誰か一人でも“心の通う人”がいることが、幸せの大前提であるという当たり前のことを、コロナ生活が思い出させてくれたと考えてもいい。

だから今こう提案したいのだ。パートナーであれ友人であれ、ちゃんと努力して一生懸命に会話して最高の関係を作っていく。それを自分から積極的に始めるのだ。言うならば、転校生が新しい友達を作ろうと必死になるみたいに。そのぐらいピュアで前向きな攻めの心がどうしても必要な時なのだ。今はそれしか、幸せになる方法がないくらいに考えて。

言うならば、転校生が新しい友達を作ろうと必死になるみたいに。パートナーであれ友人であれ、ちゃんと努力して、一生懸命会話して、最高の関係を作っていく。それを自ら積極的に始めるべき時!そのぐらいピュアで前向きな攻めの心が今どうしても必要だ!

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撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳

Edited by 齋藤 薫

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