僕にしか書けない美容本を
りんたろー。「当初は、VOCEから出すなら美容についてのことだけ書けばいいのかなって考えていたんですよ。でも、やりとりしているうちに、『EXITとしてのターニングポイントについて』とか『どういう芸人になりたいんですか』とか、芸人としての自分のことももっと書いてみてほしい、と提案してもらって。『えっ、そんなことまで、書いていいんだ!』ってビックリして。
勝手に自分で思い描いていた美容本という枷をはずしたら、伝えたいことがたくさん湧き上がってきて、『これはどう? あれはどう?』って、どんどん前のめりになって、スピードが上がっていってるのは自分でもわかります」
編集部「りんたろー。さんが正しい美容のテクニックの話ばかりしていても全然面白くないじゃないですか。っていうか、それならば、その道のプロの方の著書を読んでいただいた方がいいはずなので」
りんたろー。「そうはっきり言ってもらった時、『そりゃそうだ』と思って。一冊書き上がってみたら、やっぱり美容本というカテゴリーに入ってしまう本になるのかもしれない。けど、いろいろな読み方ができる本にしたいなぁ、と思いながら書いています」
編集部「まだ途中ですけれど、書店のどこの売り場に並べていただけるんだろう、とは思ってます。編集作業しながら、今のところ、本当に未知数だなって。営業部署には『わかりづらい本を作るなっ』って怒られるかもしれません(苦笑)」
りんたろー。「えー、そこは、頑張ってね!」
編集部 「はい、それは踏ん張ります」
りんたろー。「とにかく、僕には『りんたろー。にしか書けない本になればいいんです』ってめっちゃ言ってくるよね」
編集部 「私、『VOCE』というメディアに携わるうえで、美容を伝える人の種類を増やしたいとずっと思っていたんですね」
りんたろー。「種類? 数ではなく?」
編集部「はい。SNSが発達して、美容に関する情報を発信するエキスパートの方は一気に増えたと思うんです。でも、圧倒的に足りていないのは、美容の知識がない人、興味がない人に対し、その方たちと同じくらいの目線で楽しさや魅力、ときには難しさや面倒くささを伝えられる人なんだよな、と思っていて」
りんたろー。「たしかに、そういう人って、いないかも」
編集部「美容って、正しく顔を洗うとか、きちんと呼吸をするとか、とても身近で、誰でもすぐに始められることばかりなんです。でも、なぜか、そう思われていないところがある。
情報が増えて、どんどん細分化して高度化しすぎて、それを楽しめる人がいる一方で、その情報を目の当たりにして『美容、まじで面倒くさい』『自分とは関係ない』『お金がないから、あるいは、時間がないから無理』と遠ざけたくなる人がそれ以上に多いのが実情だと思っていて」
りんたろー。「それも、よく言っているよね」
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りんたろー。が美容の語り部に