連載 メンズメイク入門

あやうく顔を洗いすぎるところだった【連載第2回目】

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「男性もメイクは当たり前!」「男性も美容感度が高まっている!」。そんな雰囲気を感じはするけれど、本当に社会はそうなっているのでしょうか? 「メイクがしたい!」と思いたったものの店先で逡巡する著者と一緒に考えていきます。第2回目のテーマは「洗顔」。メイク前に立ちはだかる「スキンケア」の壁です。

【執筆したのは……】

鎌塚亮

1984年生まれ。会社員。ある日「そういえば、自分はラクに生きたいだけだった」と気づき、セルフケアについて調べ始める。メンズメイク初心者。
Twitter: @ryokmtk
note: 週末セルフケア入門

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男だってメイクがしたい! なのに、コスメが買えないおじさんの話【メンズメイク入門】

スッキリサッパリマン参上!

男性が顔を洗うことについて、当事者が語る機会は少ないかもしれません。洗顔の目的は、肌を清潔に保つことですよね。私は、肌がベタベタしなくなることを「清潔」だと考えていました。だからこまめに洗顔し、スッキリサッパリすると「やったぜ」と思っていた。ところが、どうも色々と勘違いしていたようです。

私が意識的に洗顔を始めたのは中学生の頃でした。洗顔料とタオルを携帯し、休憩時間のたびにトイレで洗顔していた。具体的にどんなやり方をしていたのでしょうか。洗顔フォームを手のひらに出し、水を加えて軽く泡立てる。手で顔をガシガシ洗い、タオルでごしごし拭く。

洗顔には「正しいやり方」があるそうです。まったく知りませんでした。なんで知らないんだろうという感じですが、調べればすぐに分かります。どんな書籍や動画でも、ほぼおなじ説明がある。高瀬聡子・細川モモ著『いちばんわかるスキンケアの教科書』などによれば、次の通りです。

  1. ぬるま湯で顔をすすぎ、洗顔フォームを手のひらにとる。
  2. 空気を含ませるように、手の平いっぱいまで泡立てる。泡立てネットがおすすめ。
  3. 顔全体に泡をのせ広げる。汚れを泡に吸着させるので、こする必要はない。
  4. 顔の内から外へすすぐ。すすぐ部位に合わせて手の方向を横に変える。シャワーを直接あてるのは刺激が強いので避ける。
  5. 洗い残しをチェックし、タオルで優しく拭き取る。洗いたての素肌を擦らないよう注意。

※ 洗顔料は肌質と相談。刺激の弱い方から、石鹸・フォーム・リキッド・ムース・粉末がある。

私の洗顔は、まさに真逆でした。顔中の皮脂がとれ、スッキリサッパリ満足しながら、じつは肌によけいなストレスを与えていたことになります。

VOCE

名著! 高瀬 聡子/ 細川 モモ著『いちばんわかるスキンケアの教科書―健康な肌のための新常識』 

なんでも自己流、自己診断、自己解決したがる男

化粧品メーカーの報告書などによれば、一般的に、男性の肌は女性の肌に比べて約2倍乾きやすく、皮脂量は2~3倍。年をとるにつれて乾燥しやすくなっても、皮脂の量はほとんど変わりません(女性は加齢とともに皮脂量が減るそうです)。皮脂が肌を乾燥から守っている側面もあります。あまり皮脂を取りすぎると、肌が乾燥して荒れることがある。また、肌が「皮脂が足りない」と勘違いして、皮脂量が増える場合もあるようです。

「脂っぽくなりたくない」と思って洗顔しすぎると、逆に皮脂量が増えるかもしれない。これには驚きました。肌が若く、保湿力が高いうちはこまめな洗顔に耐えられても、年をとれば洗いすぎに注意する必要があったのです。

もちろん、肌質はひとりひとり違います。自分の肌質を知り、適切に対処することが肝要なのだと思います。しかし、私自身、肌質の診断をするなんて考えたこともありませんでした。詳しい人に「洗顔ってどうしてる?」と訊いたことすらありません。

考えてみれば不思議です。皮脂や肌荒れは気にしすぎるくらい気にしていたのに、人に相談することができなかった。なんでも自己流、自己診断、自己解決。たぶん、スキンケアについて話すのが恥ずかしかったのです。気になっているのに、語ることができない。トラブルがあるのに、ひとりで抱えている。何がそうさせたのでしょうか。そして、この「恥ずかしさ」から自由になるにはどうすればいいのでしょうか?

知人にこの話をすると、「わたしの夫も肌荒れをすごく気にしているのに、すべてを洗顔だけで解決しようとする。どれだけ勧めても絶対に皮膚科へ行かず、保湿さえも拒否する」と聞かされました。

かつての私と似ています。肌荒れが続くと、洗顔料を変えることで対処しようとしていた。なぜ「洗顔だけですべてを解決しようとする」のでしょうか。これは、知識だけの問題ではありません。複雑な問題を、単純に解決しようとする心性がある。どういうことでしょうか。

VOCE

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