「僕が演じる多喜川は、女性にとって魅力的な存在だと思う」
―ドラマ『私たちはどうかしている』で山崎さんが演じられている多喜川薫について、どんな印象を持ちましたか?
「すごく大人な男性。(浜辺)美波ちゃん演じる七桜ちゃんを支えながら、全てのことを客観的に捉えることができますし、色んな面を持っている。本心が掴みづらいところもあるので、女性にとっては魅力的な存在なんじゃないかなと思います。ただ、演じるのが面白い反面、難しさもありますね」
―とてもミステリアスな役どころと伺いました。
「そうなんです。七桜ちゃんがピンチのときスーパーヒーローのようにいつも現れて救っていくので、“この人は何なんだろう? どういう目的?”って思うんじゃないかな。めちゃくちゃ良い人なんですけれどね。“なんで着物をこんなに綺麗に着こなしているのに、髭を生やして髪はグシャグシャなの!? 本当はどんな人なの!?”みたいな感じになるかも(笑)」
―(笑)。お着物の衣装はいかがですか?
「やっぱり着物を着ると、多喜川さんのスイッチが入りますね! 今、NHK連続テレビ小説『エール』の撮影も並行していますので(取材当時)、気持ちの切り替えや役へのスイッチがこの衣装でグッと入ってくるところがあります。ものすごい数の衣装があるんですが、全部ものすごくこだわっていて、とても素敵なんですよ。一番面白いなと感じたのは第1話の最後に出てきたデニムの着物。デニムのポケットや色落ちも生かして着物に仕立ててあって、お洒落でした」
「実際の僕自身は、全然プリンスじゃないんです(笑)」
―演じていて共感できる部分、ご自身と似ているところを教えてください。
「女性に優しいところかな。レディーファーストですから!(笑) でも、僕自身ミステリアスではないんですよね。皆さんが思ってくださるイメージとも結構違うと思います。『普段からキラキラしたプリンスなんでしょ?』って言っていただくんですけれど、実際は全然そうじゃないですし。男4人兄弟でずっと野球をやり続けて育ってきたので、割と男くさいんですよ。バラエティ番組で『プリンスです♪』ってやりすぎて、そういうイメージがついてしまいました」
―今回の役でも女性の扱い方がスマートなので、本来の山崎さんとギャップがあるとは驚きです。
「ミュージカルで学びました。西洋の男性を演じていたので、立ち振る舞いをすごく鍛えられたんです。宝塚歌劇団の演出をする先生に指導していただくときは、一つ一つの動作を全部美しく動く!という感じだったので、ロウソクを消すだけでも1時間くらい稽古することもあったかな。王子様のような役柄が多かったのもあり、女性に対しても美しく扱う、という部分を学ばせていただいたというのが大きいと思います」
―ミュージカルと映像のお仕事では、何が一番違うと感じますか?
「ミュージカルだと2000人くらいの方々がこちらを観ている状態なので、2階席の一番後ろまで自分の感情が届くようにという意識でお芝居をしているんですが、そこが映像のお仕事だと違いますよね。お客様がその場にいない中で何かを表現するというのに初めはちょっと違和感がありました。12歳〜29歳までミュージカル一筋でやってきたので、最後にはお客様一人一人に“ありがとうございました!”って言うのが文化だったんです。そういうところで育ってきたから、今でもその感覚が残っていて。だからこそ、テレビを見てくださる方にはどう楽しんでもらえるのか、という部分が一つのモチベーションであり、僕が頑張れる理由にもなっていますね」
―ちなみに今回の役で、特に気をつけていることはありますか?
「『私たちはどうかしている』では、七桜ちゃんを見守っていくということが多喜川のメインストーリーとして進んでいくんですけれど、彼が根本的に抱えているものというのはずっと感じながら演じるようにしています。ポジティブなことを発したりもするんですが、彼自身の苦悩みたいなものがあるので、そこは絶対に外せないなと思っています」
「どれだけ美男美女でも、“姿勢”が美しくなければ意味がない」
―ここからはプライベートな質問を。美容面で日頃から心がけていることはありますか?
「基本的なことですが、とにかく肌の乾燥をしないように保湿。でも30代を過ぎてからの一番は、食事ですね。朝は軽くバナナを一本食べたり、野菜のミックスジュースを作ったり。4〜5年続けているのは、毎日酵素玄米を食べること。おにぎりにしたりタッパーに入れて、現場でもお弁当のおかずと一緒に食べたりしています。やっぱり消化に悪いものは肌に影響があるんですよ。きちんとした食生活をしていれば大体キレイな肌がキープできると思うので、毎日食事に気をつけています」
―ありがとうございます。それでは最後に、山崎さんが美しくいられる秘訣を教えてください!
「姿勢! これは男性も女性もすごくポイントですよ。どれだけ顔がかっこよくても、可愛くても、姿勢が悪かったらそれだけで印象が変わってきてしまいますから。胸が開くっていうのは、自信の表れでもあると思うんですよ。猫背とかで縮こまってしまうより好印象に見られるし、本当にキレイに見えるので、皆さん姿勢を美しくしましょう!」
山崎育三郎(やまざき・いくさぶろう)
PROFILE:1986年1月18日生まれ。東京都出身。2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢。舞台『ロミオ&ジュリエット』(’11)、『エリザベート』(’19)などミュージカル俳優として活動し、2015年ドラマ『下町ロケット』で注目を浴びる。以降、ドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』(’19)、NHK連続テレビ小説『エール』(’20)と話題作に出演。実写映画『美女と野獣』(’17)の日本語吹き替え、アニメ映画『名探偵コナン 紺青の拳』(’19)の声優を担当するなど幅広く活躍している。
ドラマ『私たちはどうかしている』
花岡七桜(浜辺美波)は、幼い頃和菓子職人の母が住み込みで働く老舗和菓子屋・光月庵で暮らしていた。しかしある日、光月庵の若旦那(鈴木伸之)が何者かに殺害され、彼の息子・椿(横浜流星)の証言で母親(中村ゆり)が逮捕されてしまう……。15年の月日が経ち、和菓子職人となった七桜。“容疑者の娘”と“被害者の息子”という立場になっていた2人は再会し、七桜だと気づいていない椿からいきなりプロポーズを受ける。正体を隠したまま“偽りの結婚”をし、母親の無実を証明するために光月庵に乗り込む七桜。しかしそこには、様々な逆境が待ち受けていたー。
毎週水曜日22:00〜放送中
出演/浜辺美波 横浜流星 高杉真宙 岸井ゆきの 和田聰宏 岡部たかし 前原滉 草野大成 山崎育三郎 須藤理彩 中村ゆり 鈴木伸之 佐野史郎 観月ありさ
撮影/大靍円(昭和基地 ¥50 management)
取材・文/高橋夏実
Edited by VOCE編集部
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