「子育ては出来るだけ手を抜きたかったので、たくさん人に預けたり、シッターさんに見てもらってます」
この言葉を聞いたときに感じる違和感の正体を私は突き止めた。
今、私は絶賛連ドラの撮影中。週に2~3回だけの撮影だが、朝イチで撮影が入ったときは4:30に起きて朝ごはん&お弁当&夜ごはんの準備をして6:00に家を出発している。ありがたいことに、バラエティや、YouTubeや、デザインのお仕事もあるので、毎日何かしらの締め切りに追われ、正直いっぱいいっぱい。でも私ががんばらないと、家の中も、現場もまわらない。だから私はがんばっている。
小さい頃から私はがんばることが正しいと思っていた。がんばっていれば誰にも怒られないし、全ての事が一番スムーズにいく。なのでおのずと子育ても全力。寝たい気持ちや遊びたい気持ちを心に閉じ込めて真正面から向き合うものだと思っていた。だから……キラキラした子育てをしている人を見ると、正直もやもやしていた。
産後1ヵ月で子供連れて美容院行くの!? 私は自分に時間かけられるようになったの、生後半年だったけど? シャンプーしてるとき、子供ぐずったらどーするの?
子供小さいのに人に預けて友達とランチ!? 生まれたばかりなんだから離れたらかわいそう!
親子コーデ……。私、そんなファッション楽しむ余裕なかったけど……。
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心の中はいつもこんな状態。正直、今も思ったりする。冒頭の“子育ては手抜きします宣言”をする人たちに対しても、え! そんなこと言っていいの!?ともやもやする。
でも、私はもやもやの正体に気づいている。多分私はそういう人たちが羨ましいんだと思う。自分が毎日、色々なことをがまんしているから、ただただ羨ましいだけ。そして、その羨ましい気持ちは、キラキラさんの冷静な判断力に対しても。キラキラ子育てしてる人や、無理なく子育てしてる人たちは、自分のキャパをしっかり理解してる人たち。キャパオーバーになることがわかっているから、そうならないように人を頼ったり、うまく自分の時間を確保している。ところが私は自分のキャパも把握しないまま謎の正義感に駆られてがんばっているもんだから、しょっちゅうキャパオーバーして、パンクしている。何とも効率の悪い日々。シッターさんに頼ったりすればいいのに、変なプライドが邪魔をして頼めない。はぁ。かわいくない性格。
今第一子を妊娠中の妹にも『ベッキーは、基本、毎日子育て頑張って、たまーにどう手を抜くか考えてるでしょ? 私は逆だよ。できるだけ毎日がんばらないで、たまーに全力の日を作ろうとしてる』と言われた。子育て未経験の妹に、子育てのコツを教わるとは……。心に刺さった言葉だった。
素敵なエッセイならば、ここで“私もこれからはみなさんみたいに程よく手を抜いて子育てしていこうと思います!”で文章が締まるはずなのだが、そうなれないのが、また私のだめなところ。ごめんなさい。今日はただただ私の現状報告をしてるだけのようなエッセイです。
謎の正義感に駆られた時代遅れの頑張り屋のベッキー。これからどうなっていくのだろうか。早く自分のサイズに合った生き方を見つけたい。
ベッキーの「新こきゅう」連載の記事はこちら▼
- 自分の心にインタビューをする【ベッキー書き下ろしエッセイ連載第1回】
- 自分になかった発想を受け入れる【ベッキー書き下ろしエッセイ連載第2回】
- カウンセリングを受ける素晴らしさ【ベッキー書き下ろしエッセイ連載第3回】
過去のインタビュー記事はこちら▼
ベッキー/Becky
1984年生まれ。神奈川県出身。14歳で子ども向け番組『おはスタ』でデビュー。以降、バラエティやトーク番組、雑誌などで活躍。2019年にプロ野球指導者の片岡保幸さんと結婚し、2020年春に第一子、2021年春に第二子を出産。2021年には「第14回ペアレンティングアワード」でママ部門を受賞。洋服のデザインや絵画制作も行い、カラフルなアクリル画が印象的な「Becky art」も人気。YouTubeチャンネル「ベツキイ!!!!」も、絶好調配信中。
撮影、イラスト、文/ベッキー 撮影(ポートレイト)/猪原悠
Edited by 渕 祐貴
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