田中みな実、フリーランスになる
華も経験も圧倒的に足りない。その事実に気がついて自分に失望する
「フリーになっても望んだような仕事は舞い込んできませんでした。局アナ時代から続けさせてもらっていた番組はいくつかあったけど、それ以外は、トーク番組で恋バナやぶりっ子キャラを切り売りするものばかりで、MCアシスタントの仕事は少なかった。考えてみれば、それらの仕事は局のアナウンサーに任されるもので、私は彼女たちに勝る技術もないのにお金はかかる。起用されないのは当然でした。強く願った朝の番組も、メインで起用されるタレントさんやフリーアナウンサーは圧倒的に華があって経験値もある。
外に出て気づいたのです。私は何ひとつ備わっていないのに会社を飛び出してきてしまったと。フリーになっても活躍できる!と、どこかで高を括っていたのに、局を辞めて数ヵ月、すでに後悔の念が押し寄せました。もし、あのまま残ってたら……なんて意味のない“たられば”を夢想したりして。フリーになって2年後、念願の帯番組のMCの仕事が巡ってきました。番組には愛と使命感を持って真剣に取り組みましたが、そこでもまた力のなさを知ることに。メインMCとして毎日生放送を回す大変さもさることながら、番組をよりよくするために、と思ってした提案をなかなか聞き入れてもらえないことがストレスでした。『予算がない』『時間的に厳しい』『考えておきますね』と、何だかんだ理由をつけられて話を流されてしまう。
途中でベテランの男性アナウンサーとのダブルMCに変わったときは、烙印を押されたようで絶望した。私ひとりではダメだったと言われているようで、辛かった。ただ、その方に入っていただけたことで、番組が観やすくなり、スタッフとのコミュニケーションも円滑になって結果としてはよかったんです。悔しいけど、私にとっても救いでしかなかった。あれほど強く望んだ帯番組がどれほど大変かを知り、実力不足を認めざるを得ませんでした」
どっちを選んでも後悔は残る。だからこそ、自分の選択は嘘でもいいから常に全肯定
「フリーランスになってよかったかと問われたときには『よかったです!』と答えることにしています。俳優業を始めてよかったかと聞かれたときにも『よかったです!』と、胸を張ることにしています。本当はどうかなんて誰にもわからないし、後悔だってあるに決まってる。選択をしたことで、手放さなければならなかった大切なものが頭をよぎって心が曇る日もある。
でも、どんな選択にも正解はないんですよね。どっちを選んでも迷いや後悔は生じるもの。正解なんて誰にもわからない。だったら自分で正解にすればいい。選んだ道を嘘でもいいから肯定して、口にしてみるんです。そうすれば、他者からは“成功してる人”に見えるんです。その言葉で自身を勇気づけることだってできる。何年、何十年経ったときに心の底から『この選択をしてよかった』と笑顔で話せる日がくると信じて、今は“ふう”を装うの」
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撮影/柴田フミコ ヘアメイク/笹本恭平(ilumini.) スタイリング/西野メンコ モデル/田中みな実 取材・文/中川知春 構成/鬼木朋子
Edited by 鬼木 朋子
公開日:
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