今回教えてくれたのは…
MET BEAUTY CLINIC院長
福山千代子先生
日本産科婦人科学会専門医。
生理のトラブルや更年期障害など、あらゆる世代の女性の悩みに、20年以上真摯に向き合っている。親身なカウンセリングで、多様化する女性の悩みに合わせ、ホルモン療法、漢方薬処方、点滴などさまざまな角度から治療法を提案。
MET BEAUTY CLINIC:https://www.met-beautyclinic.jp/
【第4回】経血量が多すぎる「過多月経」や、少なすぎる「過少月経」。その原因とは?
生理の経血量の正常の範囲を知っておき、異常の場合は、婦人科を受診しましょう
Q. 正常な生理の経血量ってどれくらい? どれくらいだと多いの? 少ないの?
A. 1回の生理期間中の経血量が20〜140mlなら正常です
福山千代子先生
生理の経血量は、人と比べることができないため、自分の量は正常なのか、異常なのかわかりにくいものですよね。
正常な経血の量は、1回の生理期間中のトータルの量が20〜140mlとされていて、かなり幅があります。ですから、自分はかなり多いかも、あるいは、かなり少ないかもと思っても、案外、正常の範囲だったりします。
この範囲より多い場合を過多月経、少ない場合を過少月経と言います。
1つの目安となるのが、ナプキンを変える頻度です。基本的に、昼用ナプキンは2〜3時間程度、夜用ナプキンは6〜8時間程度の経血量が収まるように作られています。ですから、一般的に最も経血量が多くなる生理2日目に、昼用ナプキンを2時間おきに変えるくらいなら問題ありませんが、夜用ナプキンが2時間程で経血でいっぱいになってしまうようなら、かなり経血量が多いと言えます。また、レバーのような大きな塊が出る場合も、経血量が増えているサインです。
逆に、生理2日目でも、おりものシートで大丈夫なくらいの経血量で、生理が2日くらいで終わってしまうようだったら、かなり経血量が少ないほうだと言えます。
Q. 経血量が多すぎる過多月経の場合、考えられる原因とは?
A. 子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどなんらかの病気の可能性が高いです
福山千代子先生
過多月経の場合、なんらかの病気がある可能性が高いです。特に過多月経になりやすい病気が子宮筋腫です。そもそも経血は厳密には血液ではなく、子宮内膜が剥がれ落ちて排出されたものです。子宮内膜に子宮筋腫があると、その分、内膜の表面積が広くなるので、経血量が増えるのです。
子宮筋腫は、できる場所によって種類が分かれていますが、その中でも特に、子宮内腔側に突出する粘膜下筋腫になると小さくても、経血量が増えて過多月経になりやすくなります。また、子宮の内腔にポリープができる子宮内膜ポリープの場合も、子宮内膜の表面積が広くなるので過多月経になりやすくなります。
そのほか、子宮腺筋症や子宮内膜症などの病気も、過多月経の原因になります。
Q. 経血量が少なすぎる過少月経の場合、考えられる原因は?
A.ホルモンバランスが乱れている可能性が高いです。
福山千代子先生
過少月経は、ホルモンバランスが乱れている場合が多いです。ストレスなどなんらかの原因で排卵が止まってしまう“無排卵”になっていたり、子宮内膜を厚くする女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が減っていたりすると、子宮内膜が厚くならないので、経血の量が減ってしまうのです。
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過多月経や、過少月経を治すには?
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