元宝塚歌劇団の生徒として。精一杯新しい世界で生きていきたい。
美夢
このコロナ禍に退団を決めるのはとても勇気がいることだったと思います。
綾さん
自分にとって退団を決意するのは、こんなに難しくて、苦しくて、覚悟がいることなんだなと痛感しました。自分の人生の中でもとても大きな選択でしたが、決めたからにはその選択が正しいかどうかではなく、自分で選んだ道を精一杯努めることが大切だと思って過ごしていました。
美夢
その選択が正しいかどうかより、精一杯かぁ……。すごく心に響きます。
綾さん
退団を決めてからは、今まで皆さまからいただいていたことに対してどれだけ「心を返して」いけるか、ということを考えて過ごしていましたね。ただそんな中で、コロナ禍ということもあり、公演の中止など思いもよらない出来事もありました。
美夢
そうですよね……。
綾さん
今のご時世で、仕方がないことと分かっていても、一人一人が色々な思いを抱えて向き合っていたと思います。でもみんな立ち上がり、そしてまた前を向き、次に向かって歩き始めました。そんな仲間たちの姿を見て、自分も進まなければと思ったんです。
美夢
もう涙が出そうです……。
綾さん
人生に起こることはすべて意味があることなのだと。そう思うけれど、めげそうになることもありましたね。
美夢
あります、あります。
綾さん
でも支え合える仲間がいたこと、心を寄せて下さるファンの皆さまがいたこと、それは本当に幸せなことでした。雪組のみんなはもう次の舞台に向けて動き出しているので(編集部注:取材は6月中旬でした)、私も置いて行かれないように、しっかりと自分の足で前に進まなければと思います。
美夢
新しい人生のスタートですね。
綾さん
宝塚にいられたことってすごいことだと思います。今後は自分が宝塚という世界を経験してきたということを胸に刻んで、恥ずかしくないように新しい世界で必死に生きていきたいと思います。
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千秋楽の日に感じたこと