【テーマ】コンプレックスをなくしたい!
自分の良さを引き出すメイクテクニック。とはいえ、メイクは自分のコンプレックスを意識させるものでもある。良さにフォーカスして伸ばすには?
pick up interview
KODO NISHIMURA
西村宏堂さん
メイクアップアーティスト、浄土宗僧侶。ニューヨークのパーソンズ美術大学に留学。卒業後ニューヨークでメイクアップアーティストのアシスタントを経て独立。Netflix番組『Queer Eye』にも出演。
美の価値観を広げて勇気を持てば変われる!
国内外で活躍するメイクアップアーティストであり僧侶、LGBTQ活動家でもある、西村宏堂さん。母国語のほかに英語、スペイン語を話し、ミス・ユニバース世界大会でメイクを行い、ハリウッドの著名人も手がける、世界的に注目される存在です。個性を最大限に引き出す達人である宏堂さんに、メイクとコンプレックスの真髄を語っていただきました。
「メイクを武器にするためには、ちょっとした勇気とメイクの技術が必要です。最初は、お絵かきと一緒でうまく描くのは難しい。私自身、自分のできばえに納得がいっていない時は、どこか自分を隠したい気持ちがありました。あとは勇気ですね。今はSNSやオンライン講座など、様々なテイストのメイクアップアーティストの発信に触れることができます。自分の個性を引き出す色やメイクテイストをいろいろ試してみて、実際外に出てみる。周りにどんな反応があるのか? チャレンジを繰り返すと素晴らしい変化が訪れると思います」
人は往々にして、自分が生きる世界の“理想”から外れたとき、コンプレックスや悩みを抱きがち。LGBTQでもある宏堂さんは、既存のルールや規範を超えるために必要なセンサーを持って生まれたと言っていいかもしれません。
「私は自分の細い目が嫌いだったんです。でもアメリカに住んでいたとき、スペイン人の友達から『コウドウの目は切れ長でとてもキレイ。ミステリアスで美しい』と言われて。見る人によっては全然違う見え方なんだと、当時の自分にはない価値観だったので驚きました。自分の価値観では、まだ気づけていない良さを見つけてくれる存在や知識に出合うことは大事です。例えば、日本の多くの雑誌やメディアでは目は二重で大きいほうがいい、という価値観がありますから、自分から能動的に美しさの基準を広げるアプローチをすることが大切です。知らない民族の身体や文化の素晴らしさに気づき、リスペクトできる視点を持ち、他人を称賛できる気持ちを抱けたなら、それを自分にも向けてあげること。見聞を広げて様々な美の多様性を知ることが自分に跳ね返り、コンプレックスを長所に変える決定的な瞬間になりますよ」
『正々堂々私が好きな私で生きていいんだ』
西村宏堂
¥1430/サンマーク出版
「自分の価値を自分が信じてなければ、何も変わらない」をベースに、他人とは違う自分を愛する方法、自分に自信を持つ方法を語った初のエッセイ。海外でも大反響で、7ヵ国語での出版が決定。
構成/藤本容子
Edited by 大森 葉子
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