尼神インター誠子「B」特集

誠子「メイクはとけない魔法です」【ヘアメイク長井かおりと号泣対談】

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“表情込み”でメイクする。チャームを際立たさせるポイントです(長井さん)

誠子:メイクは好きなのにいつも同じ顔になっちゃうし、重ねると派手になる感じがして、結局、化粧っ気のない顔になってたんです。だから今日教えていただいた「表情込みのメイク」は本当に勉強になりました。

尼神インター・誠子さん

長井:そうそう。笑ったときに二重がくーっと目の奥に飲み込まれる表情がとってもチャーミングであり、誠子さんの日常の表情なんですよね。だからメイクするときも真顔ではなく、普段よく見せている“笑顔”にお化粧することを意識してほしいなって思ったんです。
そのために今回は笑ったときに見えなくなるまぶたの部分を考慮して、アイシャドウは少し広めに塗りました。そうすると笑ってもアイメイクの色が二重の奥に飲み込まれず、お化粧していることがちゃんとわかるんですね。

誠子:普段いくら頑張ってお化粧しても、テレビで見るとスッピンに見えてしまうのはそのせいか!ってすごく納得できました。

長井:こういうのが本当に“実用的”なメイクなんだよね。読者の方から、「アイラインは何ミリ跳ねさせたら可愛いですか?」とかって聞かれることが多いんですけど、本当に使えるメイクってことを考えたら、“日常のあなた”をこちらがもっと聞いていかないと、本当にその人自身のチャームを際立たさせる提案ってできないんです。

誠子:そうなると、やってもらうこちら側も普段の自分を客観的に知っておいて、「どう見せてほしいか」を相手の方に言ったほうがいいですよね。今思えば、バラエティの現場はバタバタしていることもあって、担当してくださるメイクさんにそういうお願いをしたことがなかった……。

長井:そうそう、そうなんです!  美容院でも「全部おまかせで」って言うお客さんが一番、美容師さんにとっては難しいはず。普段のその人を知らない、初対面の人だったらなおさらね。自分の希望を伝えるのに抵抗がある人もいるみたいだけど、「自分はこうなりたい」って言うことはワガママでもなんでもなくて、情報の自己開示であり、自分を自分でプロデュースする、ってことだと思います。

誠子:私、今日はじめて長井さんにお会いしたのになんか戦友みたいに感じて……。それは顔だけじゃなく、私の中をのぞいて理解してくれはる感じがしたからかなって。
教えてもらったのはメイクのテクニックなんですけど、それよりも心の方っていうか、気持ちを変えてくださったなっていうか……。コンプレックスや「B」=ブスを隠すメイクじゃなく、チャームを見つけて気分を上げてくれる、そういう魔法のかけ方を教えてくださったんだと思いました。

誠子さんの本で改めて“女性”に立ち返らせてもらった(長井さん)

長井:やめて〜。泣いちゃうよ〜。褒めてもらったから言うわけじゃないんだけど、はっきり言って誠子さんの本には全然、自分がやってることって及ばないなって思ったの。
長年、「美」に携わってきた自分だけど、メイクとかって表層のテクニックではなく、それこそマインドを変えて女性をチアアップしてくれるパワーを誠子さんの本から感じたんです。あとね、改めて「女性」っていうところに立ち返らせてもらったなって。

誠子:あ、ありがとうございます(半泣き)。実は私、すごく女の子を応援したい気持ちがあったので、汲み取って下さったことがありがたいです。

長井:今って従来の「男らしさ」「女らしさ」が問い直されている過渡期ですよね。私もメイクは好きな人が、性別関係なく楽しめばいいって思ってるし、そこに嘘はないんです。
でも「B」、ブスについては、生まれながらに「かわいさ」を求められる女の子と男の子とでは、そのプレッシャーに大きな差があると思ってて。
だからこれまで「B」は女の子にとって敵以外の何者でもなかったわけだけど、誠子さんはそんな概念を軽々と超越して、女の子の「B」の呪いを解いてくれたんです。

誠子:そ、そんな……。呪いとか魔法とか、すごい対談になりましたね(笑)。

尼神インター・誠子さん

長井:ほんとだね(笑)。誠子さんの本は軽やかなのに、今一番、私たちに近くて考えなくちゃいけないことが一発でわかる。本当にみんなにおすすめしたいな。

誠子:一緒に本のプロモーション回っていただけますか(笑)?  女の子のささやかなプラスになればいいなって気持ちで書きましたけど、長井さんのメイクも同じまったく効用があるから、そういう意味では私たち、やってることは一緒ですよね。なんか泣けてきました(涙)。

長井:アウトプットの仕方が違うだけで、目指すところは一緒だったのかぁ〜。ううう(涙)。
そもそもメイク中から何回も言ってるけど、本当に誠子さんは肌がきれいでめっちゃかわいいんだよね。だからなんで「B」と言われていたのかまったく理解できないんだけど、一方で、日本中をメイクレッスンで回ってると、かわいいのに信じられないほど自己肯定感が低くなってしまっている女の子にたくさん会うんです。だから、そういう女性たちのマインドをもっと上向きにしていってあげたいなと。

誠子:これからも、いろいろなこと、ご一緒したいです。まずは、インスタライブから? 

長井:それ、最高ですね!

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“ブス=B”な自分が嫌いで根暗だった少女がお笑い芸人になり、Bを愛するようになるまでの物語。芸人、尼神インターの誠子が初めて綴った、容姿をめぐる自伝的エッセイ。

撮影/田ノ上浩一 ヘアメイク/長井かおり  スタイリスト/程野祐子  取材・文/小泉なつみ

Edited by 大森 葉子

公開日:

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