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3月はケンカが多かった。夫との。(こんなに赤裸々に夫婦のことを世に発信するなんて初めてだが。)
前回のエッセイとも重複するが、その時期はおそらく、女性ホルモンがかなり不安定だったようで、全てのことが気になる! 注意したくなる! スルーできず話し合いたくなる!! そんな日々だった。でもおそらく、女性ホルモンの問題だけではなく、次女が一歳にもなるのにまだ2〜3時間おきの授乳があって睡眠がしっかり取れなかったり、年子育児に疲弊していたりと、色々なものが重なりかなりキャパオーバーだったのだと思う。
パンクしてしまった時は、しっかり話し合い。その度に生活を微調整。しかしまたケンカ、そして話し合い。何度か繰り返し、結果的に最後となった話し合いの時に夫が「家事を分担制」にしないかと提案してきた。……えーーー。やだーーーー。私はそう思った。
我が家では、料理は100%私担当。洗濯は私で、畳むのは夫。それ以外は気づいた方がやるシステムだった。夫は昨年末、野球のコーチを退任したので、毎日の規則的なお仕事があるわけではなく、たまに解説やイベントのお仕事をする程度。私も芸能のお仕事はたまにさせて頂いている程度。なので体調やスケジュールに余裕がある人が家事をやるという流動的なシステムで成り立っていて、それが自分的に心地よかった。
ところがクッキリとした家事の分担制のオファー。色々なことの担当を決めてしまうと、任務が残っている時の圧迫感がしんどそうと思って私は反対だった。でも私の中の結婚の大きなテーマが“価値観の違いを楽しむ”なので、受け入れてみようと思った。
一回、とりあえず分担制でいこうと話がまとまり、夫は皿洗い、私は料理、などといくつかの項目が決まっていった。私が「でもさ、余裕がある時は私がやったりもできるから!」というと「いや、そういうのもナシにしよう。それで知らぬ間にストレスが溜まって、またケンカになるかもしれないし」と返された。えぇーーーーー! 少し歩み寄ったのに!?
おっけ。“余裕があるからやってあげるよ、はナシ。でも、しんどいから手伝ってはアリにしよう”という追加項目も決まり、自分の中にない感覚だけど、ガッツリの分担制でいこうじゃないか! そう決意した。
結果から言います。……最高です。分担制、最高でーす!笑。
まず、皿洗いを夫が担当してくれることになり、こんなにもストレスが軽減されるのかと。私は、自分が皿洗いが大嫌いだったことを認識した。あと、クッキリと任務が別れていると、変な期待が生まれない。今までの流動的なシステムの中では「お皿洗い、やってくれるかなー♪ ……え、やらないんだ。え、なんでやらないわけ!?」というストレスが発生していた。それがない。あんなに嫌がっていた分担制、恐るべしでした。
今回、ここで書きたかったのは家事分担制の素晴らしさではなく、自分になかった発想を受け入れることの大切さである。テレビなどで夫婦の問題を取り上げた時によく聞くワード“価値観の違い”。そもそも違った場所で生まれ育った2人が結婚というプロジェクトに取り組むんだから、色々なズレが生じるのは当然。私は結婚をする時、“価値観の違いを楽しむんだ”とテーマを掲げた。今回で言うと私は分担制に反対だったわけだが、頑なに嫌がっていた選択肢も、一度受け入れてみると、その先に新しい世界が待っていることがある。
パートナーというのは、その新しいドアの開き方を教えにきてくれた人なのかもしれない。頑固な私だけど、これからもある程度の柔軟性を大切にしていこうと思った。
とはいえ結婚4年目ですからね。まだまだ結婚について語れる立場ではないですが。みなさまにも、居心地の良い場所へとつづく新しい扉が待っていることを祈っています。
ベッキー/Becky
1984年生まれ。神奈川県出身。14歳で子ども向け番組『おはスタ』でデビュー。以降、バラエティやトーク番組、雑誌などで活躍。2019年にプロ野球指導者の片岡保幸さんと結婚し、2020年春に第一子、2021年春に第二子を出産。2021年には「第14回ペアレンティングアワード」でママ部門を受賞。洋服のデザインや絵画制作も行い、カラフルなアクリル画が印象的な「Becky art」も人気。YouTubeチャンネル「ベツキイ!!!!」は、早くも登録者数1万人。
撮影、文/ベッキー 撮影(ポートレイト)/猪原悠
Edited by 渕 祐貴
公開日: