今回のゲストは元宝塚歌劇団・星組トップ娘役の綺咲愛里さん。2019年10月に宝塚歌劇団を退団し、現在は「充電中」という綺咲さん。たくさんのファンの方を魅了してきた愛らしい姿は健在! とても丁寧にVOCE♡宝塚のインタビューに答えてくださいました。最初のテーマは「宝塚時代」のこと。
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近所だし……宝塚、受けてみたら? って。
美夢:宝塚を目指したきっかけから聞いても良いかな?
綺咲さん:幼い頃から習っていたピアノの先生から勧められたんです。「近所だし、受けてみたら?」って。
美夢:宝塚の舞台は観ていたの?
綺咲さん:全然観ていなかったんです。なので受験の前に1度だけ観ました。
美夢:えええ! バレエはやっていたの?
綺咲さん:小さい頃から細々と……高校ではバレエの授業が週に1回あったんです。
美夢:歌はやってない?
綺咲さん:全くやっていませんでした。まぁ受かるわけないし……と思っていて。
美夢:合格してどうだった?
綺咲さん:いやもう人生が180度変わりました。通っていた高校が宝塚音楽学校と近かったから「高校に通いながらでも良いのかな? 両立できるのかな?」と思っていたくらい無知で。高校を辞めないといけないと知ったときは衝撃でした……。たまにいますよね、こういう人(笑)。
美夢: うん、たまにいる(笑)。それだけ何の情報もない状態で入学して大丈夫だった?
綺咲さん:まず標準語を話す人が周りにいなかったので、標準語を話す人が怖くて(笑)。演劇ももちろん標準語ですし、まず言葉がカルチャーショックでしたね。
美夢:入ってみて「思っていたのと違う」みたいなことはなかったの?
綺咲さん:正直思っていたものがそんなになかったから……なすがままって感じでしたね。でも表現することは好きだったんです、小さい頃から。発表会とか大好きでしたし。あんな倍率で合格できたのだから、入ったからにはちゃんとやろうって思っていました。
美夢:そうなんだぁ。ファン時代がないんだもんねぇ。
綺咲さん:音楽学校の1年目はついていくので精一杯だったので、2年目になってから5組覚えて、各組のトップさんを覚えて……って感じでした。
美夢:私は自分がゴリゴリの宝塚ファンだったから衝撃的すぎるわ(笑)。
綺咲さん:初めて同期と一緒に見たDVDが星組の作品で「わぁこの人可愛い!」って思ったのが夢咲ねねさんだったんです。
美夢:縁だね~、その数年後に星組に入るんだもんね。
大変な稽古を乗り越えて、舞台に立つ楽しさを感じた初舞台公演
美夢:実際に歌劇団に入団してからはどうだった?
綺咲さん:初舞台楽しかった! お稽古はすごく大変でしたが、それを乗り越えて舞台に立つという楽しさを初舞台生ながらに感じましたね。本当に右も左も何にも分かりませんでしたけど、顔もひどくて……。
美夢:私、あーちゃん(※綺咲さんの愛称)のお化粧見ていたんだよね(笑)。
綺咲さん:そう! その節は本当に……。私のお化粧の原点はそこから始まっています。
美夢:そこ太字で書かせてもらうね(笑)。
綺咲さん:(笑)。
美夢:まじめな話、この子はどこかの組でトップさんになるんだな~って思いながら毎日お化粧を見てた。実際あーちゃんにも、そう伝えていたよね。
綺咲さん:それすごく覚えています。でも「まっさか~」と思っていましたけど(笑)。
美夢:いや、私は稽古場であーちゃんをはじめて見たときから思っていたよ(笑)。星組に配属されてからは?
綺咲さん:初舞台生とは違うので、上級生の方がされること何もかもしっかり見て勉強しようって常に思っていました。娘役の方のお稽古場でのヘアレンジもどうなっているのかな? と、じーっと見て、家で真似してみたりして楽しく過ごしていました。
「私は女優、私は女優」と呪文を唱えながらメイクを
美夢:在団中一番メイクにこだわった役は?
綺咲さん:『スカーレット・ピンパーネル』のマルグリット役ですね。この通り童顔なので……どうしたら大女優に見えるのかと。眉毛の書き方を特に研究しました。
美夢:参考にしたものとかはある?
綺咲さん:ポスター撮影の時にヘア&メイクアップアーティストのCHIHARUさんにメイクしていただいたので、その時のメイクを基本に、モノクロ時代の女優さんの写真などはかなりたくさん見ました。そして毎日呪文を唱えながらメイクしていましたね(笑)。『私は女優、私は女優……』って。
美夢:大事なことよね。
綺咲さん:その後も女優の役が続いたので、メイクで大人っぽく見せるにはどうしたらいいか、しばらく研究していました。
「退団したらあの髪型にしたら?」と言われるほど好評だったかつら
美夢:娘役はかつらやアクセサリーも自前なので、そのあたりのお話も聞きたいんだけど。
綺咲さん:経験を積んでくると自分に似合うかつらの形とか決まってくると思うんですけど、私はそういうことにとらわれず、ショーでは場面ごとに「違う人が出てきた!」と思ってもらえるくらい印象を変えていました。場面に合わせた表現や、衣裳でもちろんガラッと変わるのですが、かつらにもかなり頼っていましたね。お芝居だと時代背景があるので、その時代・国に合わせて考えていました。
美夢:これはこだわったな~というかつらはある?
綺咲さん:『霧深きエルベのほとり』のマルギット役はお嬢様の役で、ブロンドとカールという指定が演出家の先生からあったのですが、宝塚でよく見るありがちな縦巻きカールのようなスタイルにはしたくなくて、外国人特有の天然パーマのような細かいカールにしてもらいました。「頭が膨張して見える」という心配がありましたが、かつら屋さんとたくさん相談して良いバランスを探しました。手入れがかなり大変でしたし、地毛をかつらと同じ金髪にキープするのも苦労しましたが、かなり気に入っています。あと、退団公演のパレードのかつらも気に入っていて。衣裳にティアラがあったので、シンデレラのようなイメージで高めのお団子にしてもらい、後ろにはたくさんの星の飾りを散りばめたんです!
美夢:反響が大きかったヘアスタイルはある?
綺咲さん:『ESTRELLAS(エストレージャス)』というショーの娘役のフィナーレナンバーでショートのかつらを被ったのですが、それが「そんなに?」というくらい好評で……。紅ゆずるさんからも、演出や振付の先生方からも「すごく似合ってる! 」と言っていただき、ファンの方からもたくさん褒めていただいて、過去イチでしたね(笑)。「退団したらあの髪型にしたら?」とみんなに言われているのですが、勇気がなくてできていないです(笑)。
記憶がすべて塗り替えられた退団公演の千秋楽
美夢:思い入れの強い作品は?
綺咲さん:やはり『スカーレット・ピンパーネル』は自分の中ですごく思い入れが強いです。初舞台公演でしたし、トップお披露目公演でしたので。
美夢:確かにすごい縁のある作品だよね。在団中の一番の思い出は?
綺咲さん:退団公演の千秋楽ですね。あんなに幸せな気持ちになったのは後にも先にもないなって。今でも思い出しただけで涙が出てきますもん……。楽しいことや大変だったこと、色々ありましたが千秋楽に全て塗り替えられました(笑)
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Profile
兵庫県出身。2010年宝塚歌劇団入団、星組に配属。16年に星組トップ娘役に就任。19年「歌劇団年度賞」2018年度優秀賞受賞。19年10月「GOD OF STARS/ Éclair Brilliant」で退団。退団後、これからの活躍が期待される。
☆wowow宝塚への招待『Killer Rouge」紅ゆずると綺咲愛里の副音声解説付で放送決定。
2020/2/16(日)公開収録イベント開催!
https://www.wowow.co.jp/plusw/present.php?p_id=6998
撮影/城健太(vale.)、取材・文/美夢ひまり(VOCEST!)
Edited by 三好 さやか
公開日: