スタイリッシュな姿が全く変わらない元宝塚歌劇団・人気男役スターの七海ひろきさんがVOCE初登場! 2019年3月に惜しまれつつ宝塚歌劇団を退団し、新たな世界で活躍を続ける七海ひろきさんのもとに元タカラジェンヌのVOCEST!美夢ひまりがインタビューに伺いました! 最初のテーマはもちろん「宝塚時代」のこと。
小学生でレッドバトラーに恋をした
美夢:カイちゃん(※七海さんの愛称)と宝塚の出会いは?
七海さん:小学生の頃、天海祐希さんの「風と共に去りぬ」をテレビで見たんです。そのときに宝塚という世界と、天海祐希さんという男役さんに衝撃を受けて。
美夢:最初はテレビだったんだね。初観劇は?
七海さん:東京宝塚劇場で天海祐希さんの退団公演「ME AND MY GIRL」を観劇。ビデオで見るのとは全然違って、生の舞台ならではの空気で感じるものに圧倒され、「この舞台に男役として立ちたい」と思うようになり、そこから受験に向けてお稽古を始めました。
美夢:それまでは?
七海さん:それまではバレエなど特に何にもやっていなかったんです。私、茨城県出身なのですが……東京のお稽古場に往復5時間かけて通ってました(笑)。
美夢:往復5時間!!
七海さん:平日は学校があったので日曜日だけレッスンに。
美夢:日曜日だけ? 地元のお教室とかには通わずに?
七海さん:そうです。週1回のレッスンに賭けていましたねー。でも週1回だけバレエをやったところで、全然上達しないんですよ(笑)。なので入ってから結構苦労しましたね。
美夢:(笑)
七海さん:本当に……宝塚歌劇団はよくあんなに何もできなかった私を入れてくれたな、と思います(笑)。
美夢:でも選ばれた理由は何だったと思う?
七海さん:私は2回目の受験で合格したのですが……。「これが最後」と決めていたので人生を賭けて挑んだという気合いは絶対にあったと思います。それを感じてもらえたのかな?
宝塚の名言 “地美人は七難隠す”
美夢:下級生時代はどんな風に過ごしていたんだろう?
七海さん:宙組の上級生の方からは学ぶことばかりで。「この方のこんな仕草が素敵だな」などと、常に上級生の方を見て学んでいました。私、下級生のころリーゼントがなかなか上手にできなくて……。初めて上級生の方から直接やり方を教えていただいた日は寮に帰ってからもずっとリーゼントの練習をして。
美夢:寮でもリーゼント!
七海さん:本当にたくさん練習しましたね。
美夢:現役時代、特にメイクにこだわった役は?
七海さん:私、舞台メイクは本当に常に研究していたんですよ。「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」という作品の時にヘア&メイクアップアーティストのCHIHARUさんにメイクしていただいて、「メイクでこんなに変わるのか!」と衝撃を受け、すごく研究するようになりました。宝塚には「地美人は七難隠す」という名言があるのですが、肌が綺麗だったら他の部分が気にならないくらい「地」が大切で。とにかく匂いたつような色気を「地」の色で表現できるように研究していましたね。
美夢:その名言懐かしいなぁ。
七海さん:役としてはそうですね……。男役のメイクもちろんこだわっていましたが、「ベルサイユのばら」のオスカルかな……。
美夢:オスカル! なるほど。
七海さん:男装の麗人を演じるって本当に難しくて。やはり「地」が麗しく凛々しくなるようにと……。
美夢:原作のイメージもあるからね。
七海さん:そうなんです。「陶器のような肌」を目指していましたね。鏡の前で見るのと舞台でライトが当たっているときの見え方が違うので、ライトが当たってどう見えるかをものすごく研究しました。普段からメイクについて色々教えていただいていた凰稀(おうき)かなめさんがオスカルを演じていらっしゃったので、どんなアイテムを使われていたかを細かくお聞きして自分なりのメイク方法を模索しましたね。
退団公演で見た景色は一生忘れない
美夢:一番……を決めるのは難しいと思うのですが、宝塚時代印象的だった公演は何になりますか?
七海さん:私は宙組に12年いたのですが、その後星組に組替えになって。星組生として最初に出演した公演が「CATCH ME IF YOU CAN」という公演だったんですけど、組替えで緊張している私がすぐに打ち解けられるように、紅ゆずるさんをはじめ星組の皆さんがいろいろ気遣ってくださって、初めてご一緒する方々ととても楽しく作品を創り上げることができました。その公演を宙組の皆さんが観に来てくださった日がありまして。「宝塚ってひとつだなぁ」と感じた日でしたね。とても温かい空気が流れていて。「星組で一緒に頑張っていこうね」という星組の方々の想いと「星組で頑張るんだよ」という宙組の方々の想いが融合した空間がとても印象的でした。
美夢:素敵なエピソード! 一生忘れないなという景色は?
七海さん:それはやはり退団公演の千秋楽ですね。あんなに皆さまに想ってもらえる日って一生に一度なんじゃないかなと思っています。一生忘れないですね。
美夢:退団公演の千秋楽はあの場に立った人にしか分からない特別なものがあるよね。
のんびりと穏やかな一軒家みたいなところでお店屋さんをやりたい
美夢:同期の方々とは集まったりする?
七海さん:そうですね。みんなそれぞれ忙しいので、みんなで会うっていうのはなかなか難しいのですが、ちょこちょこ会っていますよ。
美夢:89期は本当に華やかな期だよねぇ。集まったらみんなでどんな話をするの?
七海さん:近況報告とか、思い出話とか、これからこんなことやりたいんだよね……みたいなことですかね。あ、これ夢物語のような話なのですが……(笑)
美夢:何々?
七海さん:みんなそれぞれ好きなものがあるので、それを集めてお店屋さんをしたいねって。お花が好きな子がお花屋さんをして、洋服が好きな子は洋服屋さんをして、カフェをやりたいと言っている子もいるので……それをひとつのところでやるんです。
美夢:カイちゃんは何をするの?
七海さん:私は腕時計とか眼鏡とかファッション小物が好きなので雑貨屋さん(笑)。腕時計は昔から集めていて、デザインが素敵なものに目が行きます。バウホール主演のご褒美でちょっと良いものを買ったことも。あと娘役さんのアクセサリーを選んだりするのも好き。「あの子にこのヘアアクセサリー似合いそうだな」とか見るのが好きで。
美夢:大変! イケメンエピソードが(笑)
七海さん:(笑)。「こういうのが似合うと思いますよ~」って選ぶのが楽しくて。
美夢:89期の方が集結してそんなことをしたら……整理券配っても入れない方続出だよ!
七海さん:みんなで集まって、そんなのどかなお店をやりたいねって、本当に夢物語なんですけど。
美夢:みんながのどかでも、運営するスタッフはもう人が集まりすぎちゃってピリピリだと思うよ(笑)
七海さん:私たちとしてはのんびりと穏やかな一軒家みたいなところでやるイメージ(笑)。基本みんなのどかなんですよね。
美夢:89期のみんなってそういう印象あるなぁ。スターさんが多い期なんだけど、結構みんな素顔は素朴よね。
七海さん:そうなんですよ。おっとりのんびりした子が多くて、舞台に立つとスイッチが入る子が多いですね。
美夢:カイちゃんもそうだよね。スイッチが入る瞬間は?
七海さん:現役時代も今もメイクの力が大きいですね。その時その役に合わせたメイクをすることでスイッチが入ります。やっぱりメイクって楽しいですよね!
【七海ひろきさん・プロフィール】
89期生として宝塚歌劇団に入団。宙組配属後、星組に組替えをし男役スターとして活躍。 2019年3月24日に退団し、俳優、声優、歌手、ラジオパーソナリティなどアーティストとして多方面で活動。
【主演舞台が決定! 舞台「RED&BEAR 〜クィーンサンシャイン号殺人事件〜」】
・キャスト(敬称省略):七海 ひろき/佐奈 宏紀/近藤 頌利/遊馬 晃祐/正木 郁/三原 大樹/新田 恵海/西岡 德馬 他
・公演日時:2020年1月24日(金)~2月2日(日)
・公演会場:サンシャイン劇場
席種/料金:全席指定8,500円(税込)
※12/14(土)~、チケット発売中。
舞台「RED&BEAR」公式サイトはこちら!
▶https://redandbear2020.com/
撮影/浜村菜月(LOVABLE)、取材・文/美夢ひまり(VOCEST!)
Edited by 三好 さやか
公開日: