連載 VOCE特別インタビュー

【夏木マリ】私は、“今派”。未来にビジョンは持たない【書籍『わたしたちが27歳だったころ』発売記念連載vol.1】

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さまざまな分野で活躍する女性たちの「27歳」だった頃のお話をまとめた書籍『わたしたちが27歳だったころ』。どんなことを経験し、どんな生き方を選択してきたのかをお伺いすると、そこには自分なりの幸せを掴み取り、自信をつけ、内面からも美しくあるためのヒントが。今回は、書籍発売を記念して特別に5人をピックアップ。VOCE読者に贈る5人の「わたし」からのエールです。

VOL.1夏木マリさんからのエール「本気で動けば、可能性はグンと広がる」

夏木マリさん
夏木マリ(なつき まり)

1973年「夏木マリ」としてデビュー。’93年からコンセプチュアルアートシアター『印象派』で、エディンバラ、アヴィニヨンなどの演劇祭に参加。毎年、秋に京都・清水寺での奉納パフォーマンス『PLAY×PRAY』を実施。途上国支援『One of Loveプロジェクト』の代表。

20代はまわり道の時期。30代で演劇に出会い、40代で見つけたライフワーク

私の20代は、言ってみれば“不貞腐れの時代”です(笑)。学生時代に、アメリカのロック・シンガーのジャニス・ジョプリンが猛烈に好きだった私は、漠然と音楽に憧れていました。でもそのジャニスは、私が高校3年生のときに、27歳で早逝してしまった。「ジャニスのような音楽をやりたい」と思って、19歳で歌手としてデビューできたけれど、最初はアイドルのような扱いでした。

21歳のときに、芸名を“夏木マリ”に変えて再デビューしたら、『絹の靴下』という曲がヒットしたんです。急に忙しくなったら、今度は過労も影響して病気で3ヵ月休むことになって。復帰すると仕事は激減(苦笑)。そこからは、キャバレー回りの日々です。このまま30代まで音楽を続けている自分をイメージしたら、それはちょっと違うなと思った。

「何かしよう」と動き出したタイミングで、『Gメン’75 』という、当時人気だった刑事ドラマのヒロインみたいな役をやることに。監督に、「芝居下手だなぁ」ってすごく怒られて、時間の拘束もすごくて、キツかった。当時は、家に帰った記憶がほとんどないほど。結局、1年しか持たなかったです。

夏木マリさん
当時のわたし

当時は誘われるままにドラマをやったり、舞台をやったり。音楽とは違うアプローチで自分を発見したいと思っていました。私の場合、30代で演劇をやって、そのとき初めて、厳しいけれど楽しい表現に出会えた。次に、40代で『印象派』という企画から構成・演出・出演をすべて自分自身で手がける舞台表現を始めたことで、ようやく自分らしくなれました。『印象派』は、大した私財じゃないけど、当時の私財をすべて投げ打っても、「やりたい!」と思ったクリエイションだったのです。

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人って、変われるんです

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