連載 VOCE特別インタビュー

映画『惡の華』主演! 注目の俳優【伊藤健太郎】さんが、思春期の葛藤を抱える変態キャラ・春日高男を熱演【VOCE♡YOU】Vol.18

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「別冊少年マガジン」で連載され、TVアニメ化、舞台化もされた人気漫画『惡の華』。衝撃作の待望の映画化で主人公を演じたのは、今注目の俳優・伊藤健太郎さん。爽やかな好青年というイメージを打破し、絶望の思春期を突き抜ける文学少年・春日高男役で新境地を開拓した彼が、この作品を通して感じたことや伝えたいことまで語ってくれました! 素顔が垣間見えるインタビュー、要チェック。

「春日が思春期に抱える葛藤や反抗心は、何となくわかります」

VOCE 伊藤健太郎

――熱狂的な原作ファンも多い『惡の華』の映画化。主演の春日高男役を演じられることに関して、最初のお気持ちを教えてください。 

「原作や台本をしっかり読んだのですが、結構過激な内容だし、僕にとってやったことのない役柄でもあったので、すごいチャレンジになるなと思いました。その時の僕にこの役をやらせていただけるのはものすごく嬉しいなと。撮り終わった後には何かしら自分の中でステップアップできるだろうと感じていましたが、ちょっとドキドキもしていました(笑)」

――憧れの女の子の体操着の匂いを嗅いだり、教室で暴れたりするシーンなど、撮影や役作りも大変だったのでは?

「思春期の少年を演じるというのは本当に難しいですよね。誰もが通ってきてはいるけれど、年齢を重ねるごとに忘れてしまう感覚や感性でもあるので。春日がやっていることに対しての共感はなかなか出来なかったのですが、やってしまったことに対しての動機や、どうしてそうなってしまったのかというものは何となくわかったんです。方法が違うだけで、思春期に抱える葛藤とか、大人に対する反発心というのは理解できたので。そういう当時の自分を思い出しながらアプローチしていった感じでした」

「玉城ティナさんが仲村さんだったので、不安感は全くなかった」

VOCE 伊藤健太郎

VOCE 伊藤健太郎

――伊藤さん自身も、思春期は生きづらいと感じていたことがあったんですか?

「そうですね。大人たちが発する言葉やルールに鎖で固められている感覚とか、言っていることはわかるけど、聞いたら負けだと思っていたり。ちょっとずつ大人になっていく上で、守っていかないといけないことや覚えていないといけないことがあるということを知ったので、当時に比べて大人の言うことに耳を傾けられるようになりましたけど(笑)。きっと心が子供だったんでしょうね。でもだからこそ、大人になっても春日が思っていることに共感できる部分があったんだと思います」

――春日が憧れのクラスメイト・佐伯の体操着を持ち帰ってしまう。それがきっかけでクラスの問題児・仲村佐和(玉城ティナ)との主従関係が始まりますが、玉城さんとの撮影はいかがでしたか?

「3回目の共演だったので、春日と仲村との関係性は築きやすかったです。同じシーンに関してがっつり話し合うようなことはしませんでしたが、何となく話すだけでタイミングを合わせられました。玉城さんが仲村としてのキャラクターを確立してくれていたので、不安感みたいなものは全然なかったし、春日をやる上ですごく演じやすかったです」

「女性の手元や指先がキレイかどうか、つい見ちゃうんですよね」

VOCE 伊藤健太郎

――作中では、クラスメイトの問題児・仲村佐和とマドンナ的存在・佐伯奈々子(秋田汐梨)それぞれの魅力に揺れる春日ですが、伊藤さんの学生時代はどちらのタイプが好きでしたか?

クラスメイトは友達みたいな感覚だったので、先輩を好きになることの方が多かったです。年上の人と一緒にいる方が楽なんですよね。女性の前だと少しカッコつけたくなっちゃうから(笑)、カッコつけすぎなくてもいられる人がいい。今もそのタイプはあまり変わらないです。付き合う上で尊敬できるってすごく大事だと思うんですけど、歳を重ねている方がよりそこが際立って見えるのもあるかも」

VOCE 伊藤健太郎

――外見面でつい見てしまう部分はありますか?

「手、ですね。すごく見ちゃうんですよ。手が乾燥していないとか、爪が整っているとか。ネイルはしていてもしていなくてもどちらでもいいんですけど、手ってごまかしがきかないと思うから、そこに気を配っていることがわかるとすごく良いなと感じるんです。だから、手元をキレイにケアされている女性って素敵だなと思います」

「やりたいことがないって、やりたいことを何でも探せるっていうこと」

VOCE 伊藤健太郎

――映画『惡の華』では、自分のことを空っぽだと思ったり、生きづらいと感じてしまうというキャラクターそれぞれの葛藤が描かれていますが、現実にもそういう人も多いと思います。伊藤さんはどう感じますか?

「僕は、自分の中には何もないと感じることってネガティブに捉えることじゃないんじゃないかなって。全然マイナスに考えるものではないと思うんです。別に空っぽだからって何かがダメなわけではないし、もしやりたいことが見つからないということだとしたら、それって逆にいいことじゃないですか。やりたいことがない方が、やれることが多い。もちろん何かをやりたいと思うこともすごく素敵なことだし重要だと思うけど、なければ自分の中でやりたいことをたくさん探せるから」

VOCE 伊藤健太郎

――なるほど……! ちなみにやりたいことがないと感じたとき、何から始めるといいと思いますか?

「気になったことを全部やってみる。やってみないとわからないので、ちょっとでも気になったことはやってみるといいと思います。僕がこの仕事を始めたきっかけも、ちょっとやってみようかなとたまたま思った日にすぐ行動してみたら意外と面白くて、って感じだったんです。もし次の日だったら、やっていなかったかもしれないし、今この場にもいないかもしれない。気になることは1日くらいやっても苦じゃないし、何か引っかかればきっとそれが続くはず。その日に思いついたこと、気になったことを何でもやってみるのもアリなんじゃないかなと思います」

伊藤健太郎(いとう・けんたろう)

VOCE 伊藤健太郎

1997年6月30日生まれ。東京都出身。2014年、ドラマ『昼顔 平日午後3時の恋人たち』で俳優デビュー。映画『俺物語!!』(’15)、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(’17)、『覚悟はいいかそこの女子。』(’18)など話題作に多数出演すると、2018年の大ヒットドラマ『今日から俺は!!』で主人公の相棒・伊藤真司役を熱演し注目を浴びる。

映画『惡の華』

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©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

中学2年生の春日高男(伊藤健太郎)は、ボードレールの詩集『惡の華』を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を見つける。衝動のままに体操着を掴み、その場から逃げてしまう春日の一部始終を目撃した仲村佐和(玉城ティナ)。仲村はその事実を秘密にする代わりに、春日にある契約を持ちかける。それは仲村と春日の主従関係の始まりだったーー。

全国公開中
出演/伊藤健太郎 玉城ティナ 飯豊まりえ

撮影/tAiki ヘアメイク/神川成ニ(Crollar) スタイリスト/高橋毅(Decoration)取材・文/高橋夏実

Edited by 高橋 夏実

公開日:

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