Vol.4安野モヨコさんからのエール「乗り越えた分だけ、できることが増えていく」
1995年から2001年まで、『FEEL YOUNG』で連載され、単行本の累計発行部数は330万を誇る安野さんの代表作『ハッピー・マニア』。シゲカヨこと重田加代子が理想の恋人を求めて突っ走る生き方が痛快で、もはや恋愛漫画のバイブルと言っていい存在。’98年7月クールに稲森いずみ主演でドラマ化された。当時、漫画の連載を数本抱えながら、イラストエッセイ『美人画報』を書いていた安野さん。その日々は、試練の連続でもあったと言います。
安野モヨコ(あんの もよこ)
1971年3月26日生まれ。東京都出身。’89年、高校3年生のときに漫画家デビューを果たす。2002年3月に映画監督の庵野秀明氏と結婚。代表作に、『ハッピー・マニア』『脂肪と言う名の服を着て』『花とみつばち』『さくらん』『働きマン』『監督不行届』など多数。『シュガシュガルーン』で第29回講談社漫画賞児童部門受賞。
友達とご飯に行く約束をしても、行けないことは日常茶飯事。
プライベートは壊滅状態
27歳といってもあまりはっきりとは覚えていません。『ハッピー・マニア』がドラマ化された後で漫画の連載が2~3本。その他に『美人画報』というイラストエッセイも書いていました。取材などで「若くして成功を収めて華やかに見えた」と言われると「え? 何が?」と聞き返すくらい毎日仕事だけの生活を送っていました。
当時は裏原宿に事務所があって、斜め向かいのマンションが自宅。徹夜明けにメイクは落ちて洋服も皺だらけのまま、おしゃれな人がたくさん歩いてる中を突っ切って帰るときなんかは「大丈夫かな? 不審者として通報されないかな」と常に小走りでした(笑)。その距離でも毎日、「帰ってすぐ4時間寝るか、お風呂に入ってから2時間寝るか」と、いかに効率よく睡眠をとるかに必死で、友達とご飯に行く約束をしても、自分だけ行けないなんてことは日常茶飯事でした。
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当時付き合っていた彼との大きな出来事