【愛月ひかる】元宝塚歌劇団・星組男役スター『愛ちゃん』×【山里亮太】南海キャンディーズ『山ちゃん』奇跡の対談（前編）

山里さん

奥さん曰く、「まったく着水の音が聞こえなかった」そうです（笑）　昨年上演された星組の『ロミオとジュリエット』を観に行く機会があったんですね。うちの奥さんとお母さんが昔から宝塚の大ファンで、でも僕はその頃は「宝塚は知ってるけど……」という、完全に食わず嫌いの状態でした。そしたら、「お母さんが急に行けなくなっちゃったのでチケットが１枚あるんだけど、行ってみる？」と聞かれて、そのときは正直「ラジオのネタにでもなったらいいかな」という軽い感じで観に行ったんです。その公演でめちゃめちゃ釘付けになったのが、愛月さんが演じられていたティボルトだったんです！

山里さん

なんてカッコいいんだ！って。自分ではまったく気づいてなかったんですけど、あとで奥さんに「ずっと両手をお祈りするみたいに胸の前で組んだまま観ていたよ」と言われて（笑）　自分の中で「カッコいい」と思って何かを好きになるというのは、女の子がアイドルを好きになる、くらいしか思いついてなかったんですが、ティボルトを観たときに「人ってこんなにカッコよくなれるんだ、これがカッコいいってことなんだ！」と思ったんです。自分がそうなりたいとか、そこを目指すとかではなくて、「こんなカッコいいものが観られたらこんなに高揚感があるんだ！」と気づかせてくれたのが、愛月さんのティボルトだったんです。

山里さん

歌もめちゃくちゃ上手いし、ダンスもすごいし……。また、ティボルトという役は、少し悲しい役回りじゃないですか。その切なさとか喜怒哀楽の全部を、僕は初めて観たティボルトにブンブン振り回されて、終わったあとにいい意味でのぐったり感を味わったんです。何だかすごいモノを観たな！っていう。俺、何で今までこれを“分からない世界”だと思って食わず嫌いしていたんだろうって。

山里さん

それで、奥さんに「あのティボルトの役は誰なんだい？」と聞いたら、全部説明してくれて。そこが沼に着水した瞬間でした……（笑）。