ビューティエディター
近藤須雅子さん
「太陽は肌の敵」はもう古い。紫外線ケアは防御から美肌光へ
5月に入ると紫外線も真夏レベル。そろそろUV対策を強化しなくちゃ、と考えている人も多いはず。でも、この「紫外線防御はスキンケアの要」という基本に今、大激震が。大前提の「日差しは肌の敵」という常識が根本から揺らぎ始めているのだ。
冷静に考えれば、日光はビタミンD生成を助けてウィルスなどへの免疫力を支え、メラトニン分泌を整えるなど、心身の健康に重要な要素。紫外線や近赤外線が悪役でも、日光全部じゃない。それなのに、年中、SPF50+のベースを愛用し、アームカバーや日傘まで動員していない?
そんなやり過ぎUVケアに一石を投じたのが、2019年度のベスコスを総なめしたポーラのB.A ライトプロテクターだ。ポーラは、日光の赤色光は皮膚のハリを支える皮下腱細胞を強化し、むしろ弾力アップに有効なことを解明。その研究成果をもとに、同製品は日焼け止めでありながら、日光の赤色光を“防がない”! その後の研究で、赤色光にはシワ予防の働きまであることが明らかになり、今年の新作では、ファンデにも赤色光を生かすレシピが採用されている。
資生堂もまた、悪役である紫外線自体を美肌に役立つ光に変える革新的な成分を開発。新成分配合のアイテムでは、紫外線を浴びることでコラーゲンやヒアルロン酸の産生が増し、エイジング加速の要因、炎症も抑えられるという。海外に目を向ければ、紫外線対策先進国オーストラリアの日焼け止めでは、紫外線を完全にカットせず、ビタミンD生成に必要なUVBは通して、免疫力低下を防ぐ処方まで登場と、UVケア革命は進行中。
松倉知之・松倉クリニック院長も「若々しい肌の維持に紫外線は大敵ですが、全身の健康にとっては有用なもの。美容と健康はイコールというのが信条なのですが、紫外線問題だけは例外なんです」
だからこそ、新ルールは『健康もキレイも欲張る太陽とのいい関係!』。UVケア製品も、さらに進化が加速する模様だ。
\つい忘れがちですが……/
日光=紫外線ではありません
上の太陽光のイメージ図を見ても、UVAやUVBは太陽光の一部であることは明瞭。だけど、ついつい日差し全体が肌に悪い気がして、必要以上に日光を避けてしまったり……。紫外線を怖がるあまり、超強力な日焼け止めを多用して海を汚したり、母体が慢性的なビタミンD不足で赤ちゃんに影響がでるといった問題も噴出してきた。そんな弊害をなくし、美容と健康を両立させるクレバーなサンケアが、これからのトレンドだ。
撮影/藤本康介
Edited by 並原 綾
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