教えてくれたのは……
発酵マイスター 阿部梨絵さん
子宮美容協会ユニバーサル認定「子宮美容セラピスト」、子宮ケアごはんインストラクター。ファッション誌で活躍するスタイリストからセラピストへ転身。女性のカラダを健やかにするには子宮や骨盤に外側からではなく、内側からもアプローチする必要があると、発酵食品について学び、プライベートサロン『SALON GREEN』をオープン。定期的に発酵食品やキムチづくりの教室を主宰している。
酵素ドリンクや甘酒などブームが続き、もはや定番化しつつあります。でも、よく考えてみれば、日本はそもそも発酵大国。昔から自然に発酵食と親しんできたんです。そこで、発酵食品の魅力と、付き合い方をあらためてご紹介。
自然界の微生物のチカラを借りて、美味しく、有益に
発酵食品のとらえ方はいろいろありますが、基本的には、何か外から添加してというよりは、もともと食材の中に含まれていたり、表面に付着していたり、空気の中に存在する微生物のチカラによって発酵させた食品のこと。微生物の働きによって、うまみ成分やカラダにイイ成分が増えるので、より美味しくなったり、またカラダによい作用が期待できます。
日本は四季があるため、温度のアップダウンがあり、また湿度も高いため、発酵に適した環境です。そのため伝統的な食品にも発酵食品は多く、味噌、醤油、ぬか漬け、納豆、甘酒、塩麹などが挙げられます。もちろん海外発祥の発酵食品も多数。たとえば、チーズやヨーグルト、キムチ、ザワークラウト、ナンプラーなどがあります。
発酵食のメリットは、なんといっても腸活!
腸内には、200種類以上、100兆個もの細菌が存在するといわれており、主に善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられます。ちなみに日和見菌は、腸内細菌の大多数を占め、普段はおとなしくしているけど、悪玉菌が増えると悪玉菌になびくという、まさにどっちつかずの菌。この3種の菌がバランスよく存在していることが大切で、心身ともにタフな状況に導いてくれるのですが、私たち現代人はストレスや食生活の乱れがデフォルトのため、普通に生活していると善玉菌が少ない傾向に陥りがち。
発酵食品には、善玉菌の元となる乳酸菌が多く含まれており、少なくなりがちな善玉菌を増やし、腸内の細菌バランスを整えてくれる作用が期待できるのです。とくに、ぬか漬けやすぐきといった漬け物や納豆、キムチなどに含まれる植物性の乳酸菌は、動物性の乳酸菌よりも腸の奥まで届くと言われており、腸内の環境整備にはもってこい! 便秘の方にはとくにオススメです。
女性ホルモンのバランスを整える効果も!
腸は第二の脳といわれていますが、腸はホルモンを分泌する臓器でもあります。とくに30~40代の女性は、妊娠や出産、育児、仕事とプライベートの両立などでホルモンバランスが乱れやすい時期。生理痛や子宮の病気、更年期などのトラブルも起こりやすいため、発酵食で腸を整えておくことは、とても大切なことなのです。
消化サポートは塩麹、疲労回復や甘酒を。花粉症にも有効です!
すべての発酵食品にいえることですが、発酵食品に含まれる酵素は、お肉やお魚のタンパク質を、まるでハサミでチョキチョキ切るようなイメージで分解してくれます。なので、塩麹や醤油麹につけ込んでおくと、焼いてもお肉が硬くなりにくいうえ、一緒にとることで、分解を促し、消化吸収を助けてくれます。結果、代謝もよくなるので、ダイエットの意味でもおすすめです。
また、甘酒は糖質を多く含むので、寝起きや疲れているときに、元気をくれるカンフル剤的な役目を果たしてくれます。糖質を含むため、血糖値は上昇しますが、白砂糖のように急上昇せずにゆるやかです。お砂糖の代わりにもなるので、煮物などの味付けに使うのもあり。摂る場合は、1日あたり、おちょこ1杯を目安にするといいでしょう。
発酵食品は市販のものを利用するのもありですが、表示をみて、砂糖などの添加物の少ないシンプルなものを選ぶとベター。ただ、どうしても加熱殺菌の影響で、有効な菌が死滅してしまう可能性があるので、できれば手作りのものがオススメです。
花粉症をはじめ、アレルギーは、腸内環境が悪いと起こりやすいといわれていることもあり、その点でもおすすめです。気になる方は、ぜひ意識してとってみてください。
Edited by 楢崎 裕美
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