マスクをつけるのもイヤ、はずすのも怖い!? いまこそ、肌を生まれなおそう
ビューティジャーナリスト
齋藤薫さん
「マスクを外すのが怖いならその理由を突き詰めて、自分を進化させる時!」
人間はすぐに慣れる生き物だ。今やマスクなしでは裸でいるよう。外す日が来るのは確かに怖い。だいたいがマスクを外す瞬間のあの後ろめたさは何なのか? ただそこはお互い様で、相手がマスクを取る瞬間は目をそらすのが、もはやマナーになっているほど。みなマスクに依存しているのだ。でも、すべてのことに意味があるなら、その後ろめたさは、自分に何を教えようとしているのか? 答えは一人一人違うはずだから各々考えてみて。長いマスク生活、無駄にしたくないからだ。
ともかくマスクを外すのが怖い理由をとことん突き詰めたい。口元に自信がないから? じゃあなぜ自信がないの? どこに自信がないの? 今のうちに問題を解決するつもりで深めていくのだ。いろんな口紅の色を試す。歯のホワイトニングをする。どう話せば、どう笑えば、美しい表情に見えるのか、口元の表情トレーニングをする。今までそういうゆとりがなかったから、問題を放置していただけ。時間をかければ必ず解決の糸口が見つかる。異様なマスク生活も、マスクの下で粛々と自分を進化させる時間と捉えられたら素敵!
「マスクを楽と感じていた人ほどマスクの下でも豊かな表情づくりを始めないと!」
一方、マスクが好都合だった理由は、存在を隠せたから。無表情でも許されるから。とてもよくわかる。本当に楽。顔にまるで神経を使わなくていいのだから。でもその“楽さ”にも教えが潜んでいる。本来はいやでも人目に晒されているから、顔の下半身に無意識に神経が行き渡り、それがナチュラルリフトになっていた事実を。だから楽な分だけ、たるみがちなことも……。人は3ヵ月、鏡を見ないと顔立ちが変わると言われる。裏を返せば鏡を見ること自体がリフト効果を持ち、顔を引き上げている証。この見えないリフトがすでに2年以上効いていないとしたら問題だ。筋肉が無表情を形状記憶してしまうのも厄介。顔凝りだるみを防ぐためにも、そろそろ、マスクの下でも表情豊かでいないと。
実際にマスクをしていても存在が輝く人がいる。それはなぜ? マスクの下でもちゃんと華やかな表情で生きているからである。そもそも目だけ輝かすなんて不可能。口角もキュッと上がっているから、目も輝くという顔立ち連鎖のメカニズムがあるからなのだ。
ともかく無表情の顔を人に見せないでいると、老ける上に存在がどんどんくすんでしまう。だからお願い。マスクの下でも表情豊かに。見えていなくても見えている、それが表情なのだから。
「ピンチをチャンスに変える変化を楽しめる人こそがキレイを増やす」
多くの人がマスク荒れを感じている。でも見方を変えれば、それによって自分の肌をより深く知ることができたのかもしれない。日頃トラブルが起きない人も、何をすれば荒れ、何をしなければ荒れないのか、またその時の対処法は? とさまざまなことを体験的に知ったはず。それは今後の肌人生にちゃんと生きてくる。それこそ無駄にはならないはずなのだ。
それにマスクはパックとして、日中のスキンケアツールと考えることもできるわけで、マスク仕様の日中スキンケアを編み出すようなプラス思考の人は、むしろマスク生活でも美しさを増している。つまり突然の変化を“忌々しく思う”のではなく“楽しむ”意識で、ピンチをチャンスに変える人が、この逆境にもむしろキレイを増やすこと、気づいてほしいのだ。美容室に行けないなら自分染め、エステに行けないなら美容機器の技を極めるという具合。ファンデが塗れないのも肌の静養期間と捉えて。いずれにせよマスクを外す頃には肌がピカピカ、「“収束”までに見違える」という期限付きの美肌計画は必ず結果を出せるものなのだ。こういう時こそ、心の向きが人生の明暗を分けるのは、美容も同じなのである。
撮影/菊地泰久(vale./人物) ヘアメイク/吉崎沙世子(io) スタイリング/木下夏実(DRAGON FRUIT) モデル/森絵梨佳 構成/鬼木朋子
Edited by 鬼木 朋子
公開日:
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