お話を伺ったのは……
早坂信哉先生
医学博士。東京都市大学人間科学部教授。一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所所長。温泉療法専門医として、温泉・入浴と健康の関係を研究するとともに、入浴などを通じた健康づくりなども提唱。著書に『最高の入浴法』(大和書房)などがある。
38~40℃のお湯に全身浴が基本
美肌ケアや肩こり解消、疲労回復、リラックス作用など、さまざまな美容・健康効果を得ることができる入浴。夜に1日の汚れを洗い流すのであれば、基本となる入浴法は「38~40℃のお湯に10分くらい浸かること」(温泉療法専門医の早坂信哉先生)なのだそうです。
「温度が高くなると交感神経が刺激されて、リラックスできないだけでなく、その後の睡眠の妨げにもなります。反対に、温度が低すぎれば、最大の美容・健康作用をもたらしてくれる温熱効果があまり得られなくなってしまいます。もし、それでは寒いと感じる場合は、最初は38~40℃で入浴し、後半に追い炊きをして少し温度を上げるようにするといいでしょう」(早坂先生)
また、美容・健康効果を高めるためには、より温熱効果が得られる全身浴がおすすめです。
「高血圧や呼吸器系の病気などで心臓に負担をかけたくないケースを除けば、あえて半身浴にする意味は見当たりません。お湯に浸かる部分が広いほど温熱効果は効率的に得られるので、一般的には全身浴がベスト。特に肩こりを解消したい時には、しっかり肩まで浸かることが大切です」(早坂先生)
入浴時間は10分程度が目安。
「深部体温がしっかり上がらなければ意味がありませんが、長く入浴し過ぎればのぼせてしまいます。10分前後を目安に、おでこなどがうっすら汗ばんできたらお風呂から出るようにしましょう」(早坂先生)
冷え症対策には温冷交代浴がおすすめ
冷え症などによる不快感があり、より血流アップを求めるなら、温冷交代浴がおすすめです。
「温浴と冷浴を交互に行うことで、血管が拡張したり収縮したりして血流がよくなり、冷えが改善されるようになります。方法は40℃のお風呂に3分ほど入った後、30℃くらいのシャワーを30秒ほどかけます。これを3~4回繰り返します。ポイントは必ず最後は血管が拡張する温浴で、体が温まった状態で終わることです」(早坂先生)
入浴後10分以内の保湿ケアが鉄則
せっかく入浴によって美肌効果が得られても、そのまま放置してしまうと肌にとってはマイナスになることもあります。
「入浴直後は一時的に潤いを感じるのですが、入浴によって皮脂や潤い成分を失っているので、その後、急激に乾燥が進行していきます。入浴前の潤い状態をキープするためには、入浴後10分以内に保湿ケアをすることが大切です。また、入浴時に、体をゴシゴシ洗いすぎることも肌を乾燥させる原因。顔を洗う時と同じように、タオルを用いずに、手で洗うようにするのがおすすめです」(早坂先生)
目的に合わせた入浴剤で入浴のメリットをアップ
入浴による美容・健康効果をより効率的に得るために、入浴剤を活用するのもおすすめです。
「入浴剤を入れると、入浴による温熱効果がさらに高まります。また、肌が敏感な人は入浴時にピリピリ感じることもありますが、入浴剤はそういう刺激を和らげて、肌あたりをまろやかにもしてくれます」(早坂先生)
その他にも、いろいろな作用が期待できる入浴剤が出てきているので、目的に合わせてセレクトするようにすれば、よりバスタイムが楽しくなります。
アーユルタイム ユーカリ&シダーウッドの香り 720g ¥1680/バスクリン
伝承医学のアーユルヴェーダの発想をもとに、ネパール国立トリブバン大学アーユルヴェーダ校監修のハーブ、ミネラルを豊富に含むインド産の塩、天然アロマを配合したバスソルト。豊かな癒しの香りや保温力の高さが魅力です。
バブ エピュール バスエッセンス イランイラン&サンダルウッドの香り 280ml オープン価格/花王
入浴時の美肌ニーズに応えて誕生したバスエッセンス。ヒアルロン酸やコラーゲン、アルガンオイルなどの美容液成分を約80%も配合しているので、入浴するだけで肌がしっとり、つるつるに。優雅な香りも女子力を高めます。
CLAYD for Bath 30g ¥500/マザーアース・ソリューション
アメリカ西海岸の砂漠で採取した、ミネラルを豊富に含むクレイの入浴剤。不要な汚れや老廃物を吸着して、すべすべの肌に。疲れが取れてすっきりし、気持ちよく眠りにつける実感も高いので、寝つきが悪い人などにもおすすめです。
きき湯 ファインヒート スマートモデル〈医薬部外品〉 400g オープン価格/バスクリン
通常の「きき湯」の約4倍の濃厚炭酸ガスに、温泉ミネラルや、ジンジャー末、トウガラシエキス、塩などもプラスし、徹底的に温熱効果にこだわり抜いた入浴剤。特に疲れがひどい時や、冷えが気になる人に最適。
上質の睡眠は美容や健康のためには不可欠ですが、「上がった体温が下がる時に眠りやすくなるので、就寝の1時間半くらい前に入浴をすることで上質の睡眠も得られる」(早坂先生)のだとか。上手にバスタイムを活用すれば、入浴による直接的な美容・健康作用だけでなく、夜の入浴が誘う上質の睡眠によるメリットまで、要領よく手に入れることができます。
Edited by 串田 昌子
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