妄想セレクトショップ【SELECT SHOP OYAMADA】最終回
大人気スタイリスト、小山田早織さんがリアルに欲しいものを紹介、着こなしてきたこの連載もついに最終回を迎えました。彼女が一番伝えたかったこととは?
この連載で一番伝えたかったこと
本当に好きなものを知っていますか? 自分の中の“ 好き"を大切にしていますか?
「あれ、こんな服あったっけ?」「1年以上着ていないけど手放せない」。皆さんも片付かないクローゼットを前にため息をついた経験、一度はあるのではないでしょうか。
もちろん私にもありました。私はスタイリストなので、毎日膨大な量の洋服に囲まれて仕事をしています。だから「仕事柄、洋服がたくさんあるのは仕方のないこと」と、数年前までは事務所兼あふれた洋服用のアパートまで借りていたほど。でも皆さんと同じように、着ていない服や同じような服、安いから、高かったからといった理由だけのものが山のようにあったのです。
私の場合は妊娠・出産を機に、洋服用アパートを解約して段ボール100箱分の洋服を手放しました。そして試行錯誤を繰り返しながらクローゼットを見直して、宝探しさながら本当に好きなものだけを厳選したところ、着ない服がゼロに。そう、稼働率100%のクローゼットが完成したのです。
“着ない服をゼロにしたい”に対する私なりの答えは“大好きな洋服だけで、着まわせる数を揃える”こと。
自分の本当に好きなものを知っていますか?
自分の中の“好き”を大切にしていますか?
2020年の1月号からスタートしたこの連載では、毎号テーマを決めて、着まわしや新作、旬の着こなしをご紹介してきましたが、大前提にあるのは私自身が心から“いいな”と思えるものをセレクトするということ。そう、この連載のタイトルはそこから命名しました。
今、着ない服であふれかえっているのなら、あなたのクローゼットの中を、「安かったから大量買い」「高かったから手放せない」ではなく、「心から大好き!」と思える洋服だけにしてみてください。そして常に、自分のライフスタイルに合った一番欲しいものを手に入れてください。なぜなら一番欲しいものを手に入れるまで、心は満たされないから。
ひとつ注意点があります。本当に好きならば問題ありませんが、"着まわせる"という理由でシンプルなアイテムだけを揃えるのはおすすめしません。大人になればなるほど、ベーシックなだけでなくほどよいトレンド感を取り入れることが大切。それがないと老けて見えることがありますから。
“好きだから”一択で選んだ、ほどよくトレンド感のあるアイテムをとことん着まわすこと。それが洋服的「ものを大事にする」ことなのだと、私は思うのです。
“着ない服がゼロになる=ものを大切にすること”だと思うのです
私物もミックスしたコーデは限りなくリアルです
“好き”なアイテムが分からない、着まわし方が分からないという方の参考になれば、とこの連載では私なりに可能な限り簡単に、旬のアイテムや着まわし方法、着こなし方を提案してきました。掲載されたコーディネートの中には私物も多数登場させているので、何度か同じアイテムが出てくることもあったと思います。それが私の“大好きなもの”で、私のスタメン。中には数年も前から着続けているものもあります。スタイリストとして、コーディネートを提案するのは当たり前ですが、その背景にある“洋服を循環させる”大切さが少しでも伝わっていたら幸いです。
2年間、ご愛読いただきありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。――― 小山田早織
NEWS!!
スタイリスト目線の新しい片付け術、『“着ない服”がゼロになる! 稼働率100%クローゼットの作り方』大好評発売中!
職業柄、持っていたたくさんの洋服を二児の出産をきっかけに“断捨離”、その数、段ボール100箱分。結果、手持ちの服は自宅のラック一つに収まるまでになり、完成したのは出番のない服がひとつもない「稼働率100%の完全循環型クローゼット」。クローゼットを片付けた後は、自宅(賃貸のマンション)の片付けに着手、さらには内装もプチリフォーム(賃貸なので復元可能!)。「1日2時間の3日間でできた!」「部屋がきれいになっただけでなく、心の中もすっきり!」などうれしい反響が続々!
◆洋服との向き合い方からインテリア、愛用品も多数掲載!
◆循環するクローゼットが完成すると人生が好転します
書籍『“着ない服”がゼロになる! 稼働率100% クローゼットの作り方』講談社刊・小山田早織(著)1430円
撮影/来家祐介(aosora)、須藤敬一、五十嵐勇生(TRON) スタイリング&モデル/小山田早織 文・構成/飛谷朋見
Edited by 渡辺 瑛美子
公開日: