“挑戦はいつだって怖い。失敗なんてもっと怖い。でもそのぶん必ず成長できると思ったので飛び込もうと決めました”
──このインタビューが行われたのは、6年ぶりの挑戦となった舞台、『醉いどれ天使』の千秋楽の直後。
「舞台のお話をいただいたときは、うれしい気持ちと怖い気持ちがありました。舞台に挑戦したのは今回が2度目。お客様の前で演じるプレッシャーの壮絶さは知っていましたし、さらに今回は3時間半という長丁場。相当ハードだろうなと予想していました。ですが、自分を成長させるには負荷をかけたほうがいいと思い……。その負荷が大きいほど、成長の幅も広がる。それにこの機会を逃したら、次いつチャンスが巡ってくるかわからないと思ったので、たとえ不安でいっぱいでも、挑戦してみようと覚悟を決め、お受けしました」
──演じたのは、病魔に侵された同郷の幼なじみ、松永への秘めた思いを持ちつつ、彼をひたむきに支えようとする“ぎん”という女性。
「劇中での“ぎん”の言動に、共感できることが多かったんです。彼に『もう足を洗って故郷に帰ろう! (ヤクザなんて)向いてないよ』と言うシーンがあるのですが、そのときは毎回、心の底から涙があふれてきました。明日この人は死んでしまうかもしれない。そう考えると、自然と涙がどんどんあふれて、守ってあげたいと母性のようなものが湧いてきたんです」
──迫真の演技は話題となり、女優、佐々木希の評価もグンと上がった。
「毎日戦場に行くような気持ちで劇場へ向かっていました。“慣れる”ということが決してなく、体力的にも大変でしたが、この挑戦は私の今後のお芝居の糧となったのではないかと思っています」
──読者に今伝えたいこと。
「挑戦も失敗も怖いことだと思います。ですが失敗したとしても『あ、これをやるとダメなんだ』と自分の学びにもなると思うので挑戦はしていったほうがいいと私は思います。それに、今回心底感じたのですが、挑戦はする前が一番怖いんです。飛び込んでしまえば意外と楽しめたりもするんですよね」
撮影/吉田崇 ヘアメイク/吉崎沙世子(io) スタイリング/木津明子 取材・文/中川知春
Edited by 並原 綾
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