ただただ暑く、気がつけば肌がジリジリ焼けているような体感まで。年々、暑さが、そして紫外線の強さが増すように感じるこの季節、“日焼け止めは必須”とVOCEはもちろん、テレビでもラジオでもあちこちでいっているけど……
「そもそも日焼け止めって効果があるの?」
「朝、忙しくて塗るのが面倒くさい」
「塗っていれば絶対焼けないの?」
「塗っていても焼けたことがあるのはなぜ?」
「たくさん種類があって何を買えばいいか迷う」
と実際は疑問や不信感が尽きないのも事実。そこで、美容皮膚科医 髙瀬聡子先生に基本のきからしっかり取材してきました!
そもそも日焼け止めって必要なの?
まずは、日焼け止めを塗る必要性について。
ここを理解していないと、忙しい毎日の中で、通常のスキンケアやボディケアにプラスして、1ステップ工程を追加するのはハードルが高いですよね。
では、日焼け止めが必要かどうかと言うと、答えはイエス!
理由は、ズバリ肌老化の80%は紫外線が原因だから。
赤く炎症を起こしたり、肌色を黒くしたり、シミの原因になるのに加えて、コラーゲンなどの真皮組織をも破壊。シワやたるみを引き起こします。
また、それだけではなく、遺伝子を傷つけるため、皮膚がんの原因にも。それらを防ぐためにも、積極的に日光浴をするのは考えもの。むやみに浴びない方がベターです。
では、紫外線とは何かについて。
地上に届く紫外線は、UVAとUVBのふたつ。このふたつについてちょっと深掘りすると……
●UVA
地上に届く紫外線の95%を占めているのが、このUVA。
雨や曇りの日でも降り注ぎ、窓ガラスも通過するのが特徴で、真皮の奥まで到達。コラーゲンやエラスチンなど、肌のハリや弾力を支える繊維にダメージを与えるため、シワやたるみの原因に。日焼け直後に一時的に肌が黒くなる「サンタン」の原因でもあり、もちろんシミの原因、メラニンの生成にもかかわります。
そして、このUVAに対する日焼け止めの防御効果を示すのが、PA(Protection Grade of UVAの略)。UVAによって肌が黒くなる「サンタン」の発生を、どれほど遅らせられるかを数値化したもので、+の数が多いほど防御力が高く、現在の最高値はPA++++です。
●UVB
地上に届く量は5%とはいえ、UVAよりも破壊力が強いのがUVBです。
海やプールなどで日焼けした後に、肌が真っ赤になったり、ヒリヒリするのは、このUVBが原因の炎症で「サンバーン」と呼ばれます。細胞のDNAを傷つけて、メラニンの生成を促してシミの原因になるほか、皮膚がんの原因にも。
UVBを防ぐ効果を示すのが、SPF(Sun Protection Factorの略)。UVBによって肌が赤くなる「サンバーン」の発生をどれくらい遅らせられるかを数値化したもの。数値が高くなるほど防御力が高くなり、現時点での最高値はSPF50+です。
では、この紫外線を防ぐのに、いちばんベストな方法はというと、物理的な遮断がイチバン。具体的にいうと
・日傘を差す
・ツバの広い帽子をかぶる
・長袖や長ズボンなどの洋服で肌の露出を極力少なくする
・サングラスをかける
・できるだけ日陰を歩く
それでも覆えない部分、カバーしきれない部分をフォローするために日焼け止めが必要なのです。
そして、大切なのが選び方と塗り方。この猛暑でもジリジリと差す日差しの下で過ごしても焼けないために基本的におさえておきたい3つのポイントをまとめました!
1.日焼け止めは2種、用意するのがオススメ
2.塗る量は思っている以上に多めが正解
3.2~3時間おきに塗り直した方がベター
1.日焼け止めは2種、用意するのがオススメ
デイリー用と、アウトドアやレジャーなどの紫外線が強いシーン用の2つを用意し、使い分けをしましょう。
それぞれどう選ぶかというと……
デイリー用
通勤時や洗濯物干し、買い物などデイリーの紫外線対策としての日焼け止めは、毎日使うことが大前提なので、テクスチャーや大きさなど使い勝手を重視して選ぶべし。渋々“塗らなくちゃ”と思うのではなく、毎日、“塗りたくなる!”ようなテクスチャーで、自分的に使いやすいものがベストです。
紫外線の防御力としては、SPF25・PA++以上が目安ですが、今は、SPF50・PA++++の最強クラスでも肌に負担が少なく、心地よいテクスチャーのものもあるので、あまり数値にとらわれず、感覚を最優先に選びましょう。
また、最近は肌荒れの原因となる大気汚染や、老化をもっと進める近赤外線に対応しているものも。気になる人は、そういう効果を併せ持つアンチポリューションタイプがオススメです。
アトモスフィア エアリー ライト UV クリーム SPF50+・PA++++ 30g ¥8500(編集部調べ)/SKーⅡ
軽くなめらかな美容クリーム並みのつけ心地で、紫外線はもちろん、気になる赤外線や大気汚染からもしっかりブロック。高いトリートメント効果で落とした後の肌がイキイキ!
UV エクスペール トーン アップ SPF50+・PA++++ 30ml ¥5800/ランコム
一発でくすみを吹き飛ばすトーンアップ効果もさることながら、みずみずしくスルーっとのびるテクスチャーも優秀。防御膜を均一に張り、大気汚染からもきっちりガード。
アウトドア&レジャー用
こちらは強い紫外線を大量に浴びるときのため、と考えるとやはりブロック力を重視すべき。SPF50・PA++++といった紫外線の防御力が高いという条件に加えて、汗や水に強いウォータープルーフや、こすれに対しての耐久性が強いというのも大切なポイントになります。
アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク SPF50+・PA++++ 60ml ¥3000(編集部調べ)/資生堂
汗や水に触れると、紫外線を防御する膜がさらに強くなるという資生堂独自の技術を搭載。スキンケア成分50%配合だから、つけ心地もよく、化粧下地にも。
アリィー エクストラUV ジェル SPF50+・PA++++ 90g オープン価格/カネボウ化粧品
UVAの中でも肌の奥深くにまで到達し、ダメージを与える波長までしっかりと防ぎ、汗、水に加えて、摩擦にも強く落ちにくさも追求。保湿成分もたっぷりでみずみずしいつけ心地。
また、肌が弱い人、荒れやすい人は、紫外線をカットする剤の中でも、紫外線吸収剤を刺激に感じることが多いので、紫外線吸収剤フリー、ノンケミカルといった表記があるものを選ぶといいでしょう。
スーパーサンシールド ブライトフィット SPF50+・PA++++ 40g ¥3000/アクセーヌ
肌をキレイに魅せつつ、服に色がつくのも防ぐ乳液タイプ。ノンケミカルタイプでニキビができにくい処方、かつウォータープルーフ効果まであるハイスペックな低刺激UV。
プチプラはというと、日本のものは優秀なものが多いですが、それでもメーカーによって差が大きいので、一度、テスターなどで試してみるのが◎。チェックすべきは、きちんとなめらかにのびるかどうか。紫外線を防ぐためには、肌表面に均一に膜をはる必要がありますが、それが可能かを見極めるひとつの目安になります!
エリクシール ルフレ バランシング おしろいミルク SPF50+・PA++++ 35g ¥1800(編集部調べ)/資生堂
お手頃価格なうえ、化粧水の後、1本でOKという手軽さが嬉しい。皮脂と水分のバランスを整えて、テカリを防ぎ、毛穴を自然にカバーする効果までと至れり尽くせりなUVケア乳液。
2.塗る量は思っている以上に多めが正解
SPFやPAの値は、1㎠あたり、2mgを塗って計測されていますが、実際には、その1/4~1/8の量しか塗っていないといわれています。
つまり、塗っていても絶対に日焼けしないわけではありません! あくまでも塗らないよりは、紫外線の影響が少ないと心得て。でも、ダメージを軽減する効果は十分にあります。
1㎠あたり2mgを塗るのは現実的には難しいので、今までよりも意識して多めに。オススメは2度塗りや3度塗りです。
3.2~3時間おきに塗り直した方がベター
2でも触れましたが、実際に肌に塗れている量は、表示してある防御力を発揮するには足りていません。また、汗や皮脂の影響で少なからず落ちてしまうため、基本的に2~3時間おきに塗り直しましょう。
塗り直すときのコツとしては、皮脂や汗で肌表面が濡れていると、日焼け止めを重ねても上手く紫外線を防ぐ膜が張れずに、塗り漏れができたり、定着せずによれやすくなるので、タオルやティッシュなどで汗や皮脂を軽くおさえてから塗り直すこと。
外出先で手足や髪などにササッとならスプレータイプ、メイク直しのついでにパパっとならお粉タイプなど、TPOに合わせて使い分けるのもオススメです。
スポーツ ビューティ UVウェア ジェル スプレー EX SPF50+・PA++++ 70g ¥1500(編集部調べ)/コーセー
-5℃タッチのクールな使用感でしっかり紫外線を防ぐスプレータイプ。あと肌はサラサラとして汗や水に強く、逆さでも使えて、髪や頭皮にもOK。
フェイスパウダー SPF50+・PA++++ ¥4800/アンプルール
髙瀬先生プロデュースのお粉は、最強クラスのUVカット効果に加え、ハイドロキノン誘導体など美容成分もたっぷり。エアリーなつけ心地、シルク肌仕上げなど魅力が満載!
以上、まずはおさえておきたい、日焼け止めの基礎知識。基本的には毎日、心地よいものを2度塗りし、外で過ごすなら2~3時間おきに塗り直す、外に出る前には塗り直すを徹底してみてくださいね!
お話をお伺いしたのは……
髙瀬聡子先生
ウォブクリニック中目黒総院長。美容皮膚科医。VOCEをはじめ、多くの雑誌やテレビなどの媒体で、スキンケアについて取材を受けること多々。皮膚科医のノウハウを盛り込み、使い心地にもこだわったドクターズコスメ「アンプルール」の開発も手掛ける。著書に『健康な肌のための新常識 いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社)など。
Edited by 楢崎 裕美
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