お話を伺ったのは……
川島眞先生
皮膚科医。東京女子医科大学 名誉教授。長きに渡り東京女子医科大学 皮膚科学教室主任教授として、臨床、研究、専門医の育成に携わってきた皮膚科学分野の権威。光老化の第一人者としても知られており、現在も、NPO法人皮膚の健康研究機構 副理事長として、『「光老化」啓発プロジェクト委員会』を通じて、光老化の啓発活動に尽力している。
紫外線カットだけでは逃れられない、光老化の恐怖!
肌の老化の80%を占めると言われるのが、太陽光線による光老化です。最大の元凶は紫外線です。が、最近、可視光線や近赤外線も肌老化に影響を与えているということが分かってきたため、新たな光老化の要因として注目されるようになっています。
画像提供:「光老化」啓発プロジェクト委員会
可視光線や近赤外線は、紫外線よりも波長が長いために、エネルギーは弱いですが、より肌の奥深くにまで入り込んでくるという特性があります。真皮にまで到達するUV-Aよりもさらに深い部分にまで、じわじわとダメージを与えるのです。そのため、無防備に浴び続けることで、ダメージを受けたという自覚がないままに、肌老化を引き起こしてしまうキケンがあります。
特に「波長の長い近赤外線は、肌の奥にある真皮をラクラクと通過して、その下の皮下組織や、筋膜、筋層にまで入り込みます」(川島先生)。そのため、真皮においてコラーゲンなどにダメージを与え、ハリや弾力を損なうだけでなく、「皮膚の土台となっている皮下組織にダメージを与えることで、肌に深いシワが生じさせることが指摘されています。また筋層にまで到達して筋肉を弛緩させることもたるみの原因につながります」(川島先生)。
肌を支えている構造が弱体化してしまうため、紫外線ダメージよりも、さらに深刻なエイジングサインが生じる可能性があるのです。
家電のブルーライトや赤外線も肌老化の原因になる?
可視光線や近赤外線は太陽光線にだけに存在するわけではありません。身の回りにある家電にも利用されています。例えば、パソコンやスマホの画面から出ているブルーライトは、可視光線の一部です。近赤外線はリモコンなどにも利用されています。そのため、『スマホのブルーライトや、リモコンの近赤外線が、肌老化の原因になる』などという噂をネット上などで目にした人もいるのではないでしょうか?
けれども、「スマホなどから出ているエネルギー程度のブルーライトでは、肌に影響するという事実はありません。近赤外線についても、家電のリモコン程度であれば微弱ですので、影響はないと言えます」(川島先生)。そのため、家電を使う時にまで神経質になりすぎる必要はありません。ただし、「電熱ストーブやこたつなどの暖房器具から発せられる光に含まれる近赤外線は影響が危惧されています」(川島先生)とのことなので、そのような暖房器具を使う時だけは気を付けましょう。
専用の日焼け止めで、新たな光老化要因もブロック
家電のブルーライトや近赤外線はそれほど気にする必要はありませんが、日中の太陽光線に含まれる可視光線や近赤外線は、たとえ曇りや雨であっても地上に降り注がれているので要注意。「日傘や長袖の服などでカバーしたり、光老化のリスクが高い10時から14時までの時間帯の外出を控えるなどして、無防備に太陽光を浴びないことが一番です。また、日焼け止めは、紫外線だけでなく、できれば近赤外線などもカットしてくれるものを選びましょう」(川島先生)。
最後に、ブルーライトや近赤外線にも対応してくれる日焼け止めをいくつか紹介します。
B.A プロテクター SPF50・PA++++ 45g ¥11000/ポーラ
紫外線と近赤外線をブロックする日中用クリーム。みずみずしいテクスチャーで、紫外線によって不足する肌の奥の潤いやハリもアップ。高機能の保湿クリームのような感覚で使用できるのが魅力です。
UVプロテクションベースN SPF50+・PA+++ 30ml ¥3200/ナチュラグラッセ
紫外線はもちろん、ブルーライトや近赤外線にも対応する天然由来原料100%の日焼け止め。ナチュラル系にありがちな白浮きをすることなく、スッーと伸びて肌にフィットし、ツヤ感のある明るい肌印象に。
ベネフィーク ハイドロUVジーニアス(UV&IR) SPF50+・PA++++ 50ml ¥3500(編集部調べ)/資生堂
紫外線や赤外線による光老化だけでなく、乾燥などによるダメージからも肌を守る日焼け止め用美容液。疲れが現れやすい大人の肌に、しっかり潤いをめぐらせ、疲れを感じさせないイキイキとした美肌へと導きます。
エクイタンス 光プロテクション SPF50・PA++++ 30g ¥5000/サンスター
独自の新素材“光プロテクトシールド”の採用により、紫外線だけでなく、ブルーライトを含む可視光線や近赤外線もカット。肌魅せオーラパウダーが肌のトーンを整えるので、メイク下地としてもおすすめです。
隙の無い光老化対策を行うためにも、このようなブルーライトや近赤外線にも対応してくれる日焼け止めを賢く活用してみてはいかがでしょう。
Edited by 串田 昌子
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