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【ヒアルロン酸の基本】老け顔脱出には……ヒアルロン酸?ボトックス?美容医療の現場をリサーチ!

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美容皮膚科医による本格ビューティコラム。タカミクリニック院長 高見先生が、最先端の美容医療の見地から、ビューティの「?」にお答え! 聞き手は、ビューティエディター 安倍佐和子さん。

実年齢は同じなのに「見た目年齢」は、人それぞれ。同い年でも、老けて見える人と、若々しく見える人の違いって何……?老けて見える「老け顔」を脱出し、若々しい表情をゲットする手だてはあるのでしょうか!?

教えてくれたのは

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美容皮膚科医。タカミクリニック院長。ニキビ、毛穴治療、ヒアルロン酸注入などのアンチエイジング治療の第一人者。高い技術力から、女優やモデル、美容関係者から高い信頼を得ている。

質問したのは

ビューティエディター安倍佐和子さん

化粧品会社勤務を経て、女性誌編集者に。現在はフリーランスとして、多くの女性誌で編集・執筆活動を続けるほか、広告、化粧品マーケティングなどの分野で幅広く活躍。認定ホメオパスの資格を有し、フィトテラピーアドバイザーのスキルも。ホリスティックからサイエンス、モード系メイクアップまで、得意な分野は幅広い。

Q.見た目年齢を左右する「老けて見える」要因って?

安倍佐和子さん:そもそも、老けて見える要因って、どんなことが挙げられるんですか?

A.年齢感で見落とされがちな、とても重要な要因に“シルエット”があります。

高見先生:卵型のシルエットが崩れ、ガタガタとしたシルエットになることで年齢感が出てしまう……これは誰にでも訪れる、重要な老け顔のファクターです。
具体的には、こめかみがくぼんだり、頬がこけるなど、皮膚やせによって引き起こされるものです。言い換えれば、眉骨や頬骨の“骨感”が目立つことが、その方の年齢感をあらわしているということなのです。
若い方でも、もともとそういうシルエットを持ち合わせている方は、若い頃から年上に見られたり、「老けてるね」って言われるんですよ。

安倍佐和子さん:そういえば、学生時代の友人は骨感の目立った典型的な痩せ顔で、その当時からいつも年上に見られてましたね。若いときは美人だったけど、今頃どうなっているのか……。

高見先生:残念なことに、痩せ顔の人は、へこんだ部分が影になり骨感が目立ってしまいます。さらに、目元や口元などくぼんできた部分に表情筋の動きが伴う場合、そこにシワができやすくなるのです。

安倍佐和子さん:ふっくら肉付きのいい丸顔の人が若く見えるのと、まったく逆ってことですね。

高見先生:ただ、丸顔の人も安心してはいられません。肉づきがいい分、重力と加齢により、たるみやすいという宿命も背負っています。

安倍佐和子さん:つまり、骨格と皮膚のボリューム感が、老け顔かそうでないのかを大きく左右するのですね。女性の「老け顔脱出」の鍵は、適度なふくよかさとやわらかいシルエットってこと!

高見先生:女性らしさに欠かせないものは“やわらかさ”だったり、“角のとがっていないなめらかな曲面”だったりすると思うのです。

安倍佐和子さん:でも、最近の若い女性はみんな痩せたい人が多いし、実際に、痩せている人が増えています。

高見先生:ダイエットしてボディが痩せても、顔がこけずにふっくらしていられるのは、25歳くらいまで。だけど、25歳を過ぎてからは顔も一緒に痩せていってしまいます。つまりは老け顔になってしまうということなんですよ。だから個人的には、極端なダイエットは25歳くらいまでのものだと思っています。頬下がこけ、影ができて“痩せた?”と言われて喜んでいる人がいますが、それは“老けた?”と同じこと。成人以降で、体重が変わっていないのに“痩せた?”と言われたら、“やばい”と思わなくては!

安倍佐和子さん:私自身、“ふっくら”は若さの証だと思っていますし、最後に勝つのは、丸顔の人なんじゃないかと思ってるくらいです。

高見先生:極端な例でいうと、まるまるとした赤ちゃんのように、顔の中に「角」がないほうが圧倒的に若い。つまりは、皮膚のボリュームが減少しやすい目の下や目じり、法令線部分や口の周囲、額やこめかみなどをふっくらさせれば、見た目の印象の“若さ”は、取り戻したり、コントロールすることができます。我々、美容皮膚科医はこれをヒアルロン酸注入で実践しているのです。

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Q.ヒアルロン酸注入について教えてください!

安倍佐和子さん:美容皮膚科では、見た目の印象の“若さ”コントロールを、ヒアルロン酸注入で実践されているとのことでしたが、西洋人は、ボトックス注射ファンが多いですね。ヒアルロン酸注入とボトックス注射の違いって?

A.線は消えても、老け感は解消できない、という事実。

高見先生:ボトックス注射で表情筋を固定すると、シワは出にくくなりますが、ふっくらさせることができないので、骨感は消えない、つまりはボトックス注射では若々しく見えないという盲点が……。皮膚がふっくらしていれば“骨感”は目立たないし、笑ったときに“線”も入りにくいのです。
日本人は感受性がとても強い民族で、シワのあるなしだけでなくもっと深いところで年齢感を感じているのだと思うのです。ヒアルロン酸注入は、シワを消すという平面的なものから顔のシルエットをデザインする立体的なものまで、様々な要求に応えることができる、日本人に適した美容技術だと思います。

Q.日本人のアンチエイジングの鍵、ヒアルロン酸注入とは?

安倍佐和子さん:高見先生がクリニックでヒアルロン酸注入をスタートしたのは、何年位前からですか?
そしてヒアルロン酸注入とはどんなものなのでしょうか? 化粧品に配合されているヒアルロン酸と混同している人もまだまだ多くて。

A.ヒアルロン酸とは、もともと体内に存在する成分です。

高見先生:肌に長くとどめておけるよう、医療用に開発されたものがヒアルロン酸注入で使われているヒアルロン酸です。化粧品に配合されているヒアルロン酸とは厳密には違います。当院では、アレルギーテストが不要だという高い安全性から、19年程前からヒアルロン酸注入をスタートしました。現在は、濃度や硬さなど、分子の大きさの違ったタイプが豊富に揃い、当院では十数種類のヒアルロン酸をご用意しています。

安倍佐和子さん:どうして、それだけの種類のヒアルロン酸を用意する必要があるのですか?

高見先生:自然な仕上がりにするために、注入する部位やその皮膚の状態、また表情筋の動きの有無など、その状況に合わせて使用するヒアルロン酸を使い分ける必要があるからです。
これは医師の目利きとセンス、技術が一番問われる部分です。当院の場合、純度が高いことから、世界でもっともシェアが高い信頼性のあるガルデルマ社(旧Q-MDE社)やアラガン社製のヒアルロン酸を使用しています。じつは、ヒアルロン酸には使用期限がありまして、より安心して治療を受けていただくため、施術の際は、必ず目の前で封を切る“オープニングセレモニー”を行っているんです。

安倍佐和子さん:それは、安心ですね。では、一回のヒアルロン酸注入の効果は、どのくらい持つのですか?

高見先生:注入したヒアルロン酸の種類や部位にもよりますが、通常1回の施術で数年、3~5年持続すること決してもめずらしくありません。
そして、現在さまざまな注入剤(コラーゲン、脂肪、血小板など)の中で唯一、分解剤が存在するのがヒアルロン酸です。ですから、気に入らない、イメージと違う、などの場合は、ヒアルロン酸分解・修正という選択肢もあります。高い安全性や修正が可能だという利点もあり、ヒアルロン酸が主流となっています。注入する素材が何であれ、技術力、表現力が大事な施術となります。

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Q.ヒアルロン酸注入による顔のデザインについて教えて!

安倍佐和子さん:ヒアルロン酸注入とは顔のデザインをすることだと思うので、ドクターの美的センスが問われると思います。高見先生のこだわりを教えてください。

A.施術を行っていくうえで、不自然にならないようにあえて薄くシワを残したり、常に“やり過ぎない”ということを念頭に置いています。

高見先生:じつは表情の動きにつれて、ヒアルロン酸も動きます。笑っていないときは見た目が平気なのに、笑ったときに表面がでこぼこするようなことは避けなければなりません。そもそも多くの経験がないと、一人ひとりに安定的な結果を出し続けることが難しい施術でもあります。それぞれの願いを具現化するカウセンリングと、やり過ぎないセンス、それを実現できる技術などを駆使して、表情にそってナチュラルに美しく表現することが大事だと思っています。

安倍佐和子さん:ヒアルロン酸注入でクリニックに来られる方の、人気の部位は?

高見先生:目元、口まわりとほうれい線、そして額。目元は、クマと目じりのシワです。クマに関しては、以前は一晩寝たら治っていたのに、最近は治らない、と25歳を過ぎてから来られる方が多いですね。目元のボリュームが痩せるために、目の下がくぼみ、クマやシワが表れてくるのです。なので、痩せた部分にヒアルロン酸を注入すれば、ふわっとボリュームが出て、クマやシワが目立たなくなります。上まぶたのくぼみも、ヒアルロン酸注入でふっくら戻すことが可能なんですよ。そしてほうれい線。これは簡単そうに見えて、最も難しい部位なのです。ふわふわ、ぷりっとした口元を演出しながら、同時にほうれい線を消していくという、極めてハイレベルな技術が必要だからです。非常に人気の部位ですが、医師のセンスと技術が特に求められます。

安倍佐和子さん:額のヒアルロン酸注入も人気なんですね。ちょっと意外です。

高見先生:額のシワをとりたいと、ボトックス注射を求められる方が多くいらっしゃいます。でも、シワを消すだけで若く見えるわけではなく、当院ではヒアルロン酸注入を積極的に行っています。皮膚のボリュームが減ってくるので、シワだけでなく、頭蓋骨の形や眉骨が出てくることでゴツゴツした男っぽい印象になってくるんです。若い人の額は、ふっくらして丸みがあるので女性らしい。じつは、額は大事な女性パーツなんですよ。

安倍佐和子さん:そう言われると、額が女性パーツって納得です。唇もそうですよね?

高見先生:そうですね。額に唇、そしてアーモンドアイに見える下まぶたのライン。女性だけでなく、男性でも甘い顔と言われる人は、すべて持っています。たとえば、芸能人の木村拓哉さんは額が直線的ではなく、唇も程よいボリューム感があるし、下まぶたはアーモンドアイのカーブを描いています。一部分のシワなどがすごく気になっている方が多いですが、女性パーツを中心にバランスを整えるだけで、若々しく、ふわっとやさしい印象になれるのです。

Keyword 女性パーツ
女性らしさを印象付けるパーツのこと。代表的なのは、唇やバストやヒップなどに代表される、やわらかくふっくらとした部位。見落とされがちな額も、じつは女性らしさを表現するパーツ。やわらかそうな丸みのあるシルエットのほうが女性らしい。

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Q.ヒアルロン酸注入の費用とダウンタイムは?

安部佐和子さん:ヒアルロン酸注入の施術費用って高いんでしょうか? ダウンタイムは?

A.クリニックによって価格は違ってくると思いますが、ヘアスタイリストなどと一緒で、医師の技術とセンスによって価格は変わるものだと考えています。

高見先生:さらに、注入したヒアルロン酸を長く持たせる注入技術や、痛みをなくす麻酔技術、何よりも一人ひとりの願いを具体的な言葉へと置き換えていくカウセンリング技術など、安心して施術を受けるためには、多くの要素を加味して価格を判断する必要があると思います。
ダウンタイムに関しては、まれに内出血を起こしやすい体質の方もいらっしゃいますが、治療後にメイクアップをしてそのまま遊びに行く方がほとんどですね。実際の注入を行っている時間は、部位にもよりますが、1ヵ所数分~数十分程度です。

keyword ダウンタイム
施術から回復するまでの期間をダウンタイムと呼びます。メスを入れる手術や、麻酔や注入などにより起こる腫れや内出血など、美容医療メニューにおいて用いられる用語です。体質や治療の内容により、ダウンタイムには個人差があります。

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Edited by VOCE編集部

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